PKSP3

□愛し君へ37
1ページ/4ページ

後は、もう少し頑張るだけ。




















しかし、迷路のようなビルだとグリーンは思う。



(どうして、迷路、したいの?)



いい加減敵の数も減り、ただひたすらレッドを捜してウロウロするばかりでは、そんなくだらないことに考えが及んでしまう。



(何で、こんな、見つからないのかな?)



何度も立ち止まり、戸惑うように大きな耳を動かせるエーフィの様子から、彼が一箇所に留まっている訳ではないことは解っている。



(逃げて、いろいろ、してる、とか?)



まさかねぇ、と思いながらも、エーフィを追う。



その時、急にエーフィの足が止まった。耳と尾がピンと立っている。



「ブイ?どうしたの?」



突如足を止めたにも関わらず、エーフィには警戒している様子はない。



(・・・・・・もしかして・・・・!)



エーフィが警戒しない相手なぞ、今この状況では、一人しかいない。



「・・・・・レッド!」

「え?うわっ!」



角から突然現れたグリーンに、レッドの瞳が丸くなる。彼からすれば、全くの不意打ちだったのだろう。



「え!?グリーン!?もう此処来たの!?ていうか、怪我してない!?ああもう、しかも、何で一人なワケ!?」

「レッド、落ち着いて」

「落ち着けるワケないでしょ!?」



レッド自身も傷を負っているが、これだけ大声を上げているところを見ると、案外元気そうだ。



「ブイ、教えてくれた。怪我、おばさん、戦った。一人、・・・・・走る、しちゃった・・・・・」



そういえば、誰も追い掛けて来ないなぁと思わんでもなかったが、上は上で何かと大変なのだろうと、勝手に納得していた。



「あのねぇ!・・・・・まぁいいや、この際・・・・・」



生憎、此処で彼に根気よく説教する気力も時間もない。飛び付いてきたエーフィの頭を撫でながら、レッドは嘆息一つで、意識を切り替えた。



「あの女幹部は始末したんだよね?」

「うん。・・・・・始末?」



少々物騒な表現に、グリーンは小首を傾げた。レッドはそれに気付かず、眉間に皺を寄せている。



「じゃあ、後はもう一人の幹部とボスか・・・・・できれば、先にピカ見つけたいなぁ・・・・・本っ当に忌々しい奴ら・・・・ん?」



じっと自分を見つめているグリーンに気付き、レッドは瞳をぱちくりさせた。



「なに?」

「ん、レッド、らしい、なった。」

「オレらしい?」

「うん。ずっと、大人しい。今、恐いこと、言う。」

「・・・・・・」



笑顔のまま、中々に失礼なことを言うグリーンに、思わず絶句する。



(でも、確かにそうかも・・・・・)



今回、一人で何とかしようとする余り、随分と間怠っこしい手順を踏んだり、泣きじゃくったりと、弱気過ぎたのかもしれない。



「・・・・・そうだね。ちゃっちゃと潰しちゃおっか!」



沈んでいた心が、漸く浮かんできたような気がして、久々に心から笑った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ