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□オレがあいつでアイツが俺で
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此処は秩序の聖域。カオスの軍勢やイミテーション達が攻め入ることのできない、この世界唯一の憩いの場である。
「平和だよなぁ・・・・」
「(聖域だからな。)」
「こうも平和だとさ、ちょっと暇だよな。」
「(留守番なんだから仕方ないだろう。)」
「・・・・・スコールさぁ、心の中で相槌打ってねぇでさ、声出そうぜ?」
俺の独り言みたいじゃん、と若干呆れた声でジタンが言った。
毎日毎日戦闘続きでは、疲労は蓄積される一方である。疲れが溜まれば隙が生じやすくなるため、秩序の戦士達は、順次数人が留守番として休息日を設けている。今日の留守番はスコールとジタンに加え、隣で昼寝をしているティーダと、何故か姿の見えないバッツの四人だった。他のメンバーも、今日は軽く哨戒する程度で帰って来る予定だ。
何時も騒がしいティーダとバッツが大人しいため、周囲にはのほほんとした雰囲気が漂う。常にピリピリしているのは、スコールでも御免被る。こういう穏やかな時間を過ごすのも、たまには悪くない。平和はとても儚く、ともすれば壊れてしまうものだから。
「注目!注もーく!!」
突如、空気を壊すどころか叩きのめす勢いでバッツが叫んだ。経験上、嫌な予感がビシビシする。
「バッツさんのドキドキ☆実験ターイム!」
笑顔で告げられた言葉に、ジタンは何処からツッコむか考えて−−−−諦めた。隣のスコールを見遣ると、引き攣った顔と瞳が合った。言いたいことはよく解る。
ちなみにティーダはまだ寝ている。あの大声に眼を覚まさないのはある意味凄いが、今はどうでもいい。
「あっれ〜!?ノリ悪いなぁ!」
二人の反応に、バッツがつまらなさそうに唇を尖らせる。スコールはともかく、ジタンは面白いことは積極的に関わる方ではあるが、バッツやティーダのように節操無く騒ぎを起こしはしない。
「何やらかすつもりだよ・・・・・」
「ふっふっふー。これを見よ!」
そう言ってバッツが取り出したのは、・・・・・毒々しい蛍光ピンクの液体だった。
−−−−平和が壊れやすいのは事実だが、仲間に壊されるのは理不尽だな−−−−
スコールは頭の片隅でぼんやりと考えた。