FF

□オレがあいつでアイツが俺で
1ページ/4ページ

此処は秩序の聖域。カオスの軍勢やイミテーション達が攻め入ることのできない、この世界唯一の憩いの場である。



「平和だよなぁ・・・・」

「(聖域だからな。)」

「こうも平和だとさ、ちょっと暇だよな。」

「(留守番なんだから仕方ないだろう。)」

「・・・・・スコールさぁ、心の中で相槌打ってねぇでさ、声出そうぜ?」



俺の独り言みたいじゃん、と若干呆れた声でジタンが言った。



毎日毎日戦闘続きでは、疲労は蓄積される一方である。疲れが溜まれば隙が生じやすくなるため、秩序の戦士達は、順次数人が留守番として休息日を設けている。今日の留守番はスコールとジタンに加え、隣で昼寝をしているティーダと、何故か姿の見えないバッツの四人だった。他のメンバーも、今日は軽く哨戒する程度で帰って来る予定だ。



何時も騒がしいティーダとバッツが大人しいため、周囲にはのほほんとした雰囲気が漂う。常にピリピリしているのは、スコールでも御免被る。こういう穏やかな時間を過ごすのも、たまには悪くない。平和はとても儚く、ともすれば壊れてしまうものだから。



「注目!注もーく!!」



突如、空気を壊すどころか叩きのめす勢いでバッツが叫んだ。経験上、嫌な予感がビシビシする。



「バッツさんのドキドキ☆実験ターイム!」



笑顔で告げられた言葉に、ジタンは何処からツッコむか考えて−−−−諦めた。隣のスコールを見遣ると、引き攣った顔と瞳が合った。言いたいことはよく解る。



ちなみにティーダはまだ寝ている。あの大声に眼を覚まさないのはある意味凄いが、今はどうでもいい。



「あっれ〜!?ノリ悪いなぁ!」



二人の反応に、バッツがつまらなさそうに唇を尖らせる。スコールはともかく、ジタンは面白いことは積極的に関わる方ではあるが、バッツやティーダのように節操無く騒ぎを起こしはしない。



「何やらかすつもりだよ・・・・・」

「ふっふっふー。これを見よ!」



そう言ってバッツが取り出したのは、・・・・・毒々しい蛍光ピンクの液体だった。



−−−−平和が壊れやすいのは事実だが、仲間に壊されるのは理不尽だな−−−−



スコールは頭の片隅でぼんやりと考えた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ