PKSP2

□愛し君へextra6
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「その傷、さっき?」



第九回ポケモンリーグは、史上稀に見る激戦の末、最年少のチャンピオンを生み出した。



その直後に気を失うほどに疲弊していた少年たちは医務室に運び込まれ、二人とも、先程目を覚ましたばかりだった。



流石に泥だらけ、血だらけになってしまった服を着たままの表彰というのも、余りに格好がつかないため、目の覚めた二人が言われた言葉が、『着替えろ』だった。



お互い向かい合ってベッドに座り、着替え出す。男同士な上に、二人ともまだ十一歳。恥じらいもへったくれもない。



その途中で、レッドは急にグリーンに声を掛けられたのだ。



レッドは、ああ、と少々醒めた声で呟いた。背中の傷を、見られてしまったのだろう。



「違うよ、コレは古傷。ってか、さっきできた傷なら、こんなに塞がってる訳ないだろ?」



グリーンは納得したのか何なのか、パチパチと瞬きをして、痛そう、と呟いた。



「だーかーら、昔の傷だってば。今は痛くなんかないんだよ。」



つーかお前、初めて会った時とキャラ、変わってねぇ?



思わずそう訊いてしまった。初対面では、なんて厭味な奴なのだろうと思ったのに、ここ数時間は非常に大人しく、人を自ら挑発するような性格には見えない。



「こっちが素。」

「・・・じゃあ何か、お前は別に大して思ってもいない厭味を、会うたんびにオレに言ってきたと?」



あっさりとそう言われ、半眼でそう言うも、うん、と返されては、もう何も言えない。



「何がどうなったらそんな無駄なことしようと思ったんだよ・・・?」

「皆、面倒臭がりだから。」

「は?」



グリーンの言いたいことが解らず、怪訝な顔で訊き返す。



「俺を、『オーキド博士の孫だから、仲良くなると、いいことがあるかも知れない』って考えてる人は、皆、面倒臭がり。」

「だからわざと絡みにくい性格に見せかけて、そういう奴が寄ってこないようにしてた、と?」

「そう。でも、レッドは違う。」



肝心なことを言わないのは、どうやら彼の癖らしい。



「どう、違うんだ?」

「何も期待してないこと、知ってた。でも、マサラの子だから。」

「マサラの子だと、何がダメなんだ?」

「ダメじゃない。恐いだけ。」



グリーンはこちらを見て、はっきりとそう応えた。



(そういえば、ヤマブキで、コイツ・・・話しかけられたのに、急いで何処かに行っちまった・・・)



しかし、『恐い』とは、何が恐いのだろうか。




過去に、何かあったのだろうか。



「苛められた、とか?」



グリーンは首を横に振った。



「誰とも気が合わなかった、とか?」



またもや否定。やはり、話しかけたあの子は、彼の友人なのだろう。



「うーん・・・喧嘩して、そのまま、とか?」



こくり、グリーンが頷いた。



・・・当たりか。
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