PKSP2

□愛し君へ22
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おいで・・・



精神(こころ)を壊してあげる・・・




















「エメラルドが細胞分裂してくれたら、今、凄く嬉しい・・・」

「先輩、頭沸いてるのか、変人なのかどっち?」



トキワジムで出されたジュース(グリーンはコーヒーを淹れられない)を噴出しそうになりながら、エメラルドはツッコんだ。



「やだなぁエメラルドさん。どっちもですよ。」



和やかに酷いことを言うイエローに、がっくりと頭を垂れる。



相変わらずポケモンの暴走騒ぎは続き、誘拐事件も起きている。各地のジムリーダーは、てんてこまいだ。



それでもやはりマサラ・トキワには何も起こらないため、グリーンは要請された街や、ジムリーダーのいない街を回っている。



とはいえ、彼一人で全てが回れるわけがなく、図鑑所有者たちに協力を頼んだ。



エメラルドとイエローもそのメンバーである。先程までシオンタウンで、暴走するゴースの群れに悪戦苦闘していた。



三人がかりでやっと騒ぎを収めて(やたらと数が多かったのだ)、帰ってきたばかりだった。



「エメラルドが落ち着かせてくれなかったら、ヤバかったかも・・・。」

「そうですか?」



疲れた様子でそう言うグリーンに、エメラルドは首を傾げた。



自分とイエローがわかわたしている間に、彼は半分ほどのゴースを眠らせていたのだ。



正直に言うと、自分たちの助力なんて、本当はいらなかったのではないか。



「エメラルドが鎮めて見せてくれたから、皆納得してくれたんだよ。」



そう言って、少しだけ哀しそうにグリーンは笑った。



誰もがポケモンに対して好意的だとは限らない。



ポケモンが騒動を起こすと、必ず『処分』を要請する輩が出てくる。



ブルーなどは割り切っているようで、適当にあしらって、『一時保護』として連れて来ている。



ブルーに比べ、不器用なこの先輩は、きっと必死になって説得し、傷つくのだろう。



「・・・それくらいのことなら、何時でも手伝いますよ。」



何だか居た堪れなくなり、そう言うと、グリーンは嬉しそうに笑った。



彼は、余り表情に表れないだけで、喜怒哀楽はけっこうはっきりしている。そのためか、普段は大人びているのに、時折幼く見える。



まー、コレが先輩がモテる所以なんだろうなー。



ジュースをずるずると啜りながら、そんなことを考える。
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