PKSP

□A punishment from Heaven
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「五月蝿い・・・」



部屋の入口に仁王立ちし、ゴールドを睨みつけるレッドをみて、グリーンは溜息を吐いた。



だから言ったのに。



自ら起きる時は特に問題なく起きるレッドだが、人に起こされた時は、異常に機嫌が悪い。



・・・というより、寝惚けたままで暴れるのだ。



「痛ってぇ〜〜」



文句を言いかけたゴールドだったが、レッドの眼力に負けて、大人しくなる。



それにしても、いくらドアが衝撃を緩和してくれたからといっても、ドアを真っ二つにするほどの蹴りを受けても、大した怪我はしていないようだ。つくづく丈夫である。



「お、オハヨウゴザイマス、レッド先輩・・・」

「これ以上騒ぐなら、窓から蹴り落とす・・・」



ゴールドの背中に冷や汗が流れる。



恐い。滅茶苦茶恐い。



「その勢いで蹴り落としたら、ゴールド死ぬぞ?」



少し離れた所から、グリーンがのんびりと口を挟む。



「ンな暢気なコト言ってないで、助けてくださいよ!!」

「大丈夫、大丈夫。ちょっと寝起きで機嫌悪いだけだから。」

「これがちょっと!?つーか、オレといた時は普通でしたよ!?」

「自力で起きる時は何もないんだよ。起こされるとこうなる。」

「何スかその裏設定!!」



ゴンッ!!



再び衝撃音が響く。パラパラと、細かいものが落ちる音が続いた。



レッドが壁を殴ったのだ。



「流石にこれ以上壊さないで欲しい・・・」



グリーンがほんの少しだけ、眉を顰めた。ふう、と息を吐いて、レッドに話しかける。



「レッド、起きろ。」

「喧しい、って、言ってんだろ・・・」



膨れ上がる怒気に、ゴールドは焦るが、グリーンは何時もどおりだ。



恐がる様子もなくレッドに近づくと、彼の頭を撫でる。



段々とレッドの瞳に、普段の鮮やかさが戻ってくる。焦点があったのだろう。



「・・・あれ?ゴールド?」



どうしたの?



何時もと変わらないレッドの態度に、ゴールドは泣きたくなった。



・・・この人、実は二重人格とか・・・?



不思議そうに周りを見渡したレッドは、壊れたドアと穴の開いた壁を見て、蒼白になった。



「これって、オレ・・・?」



二人は頷く。隠してもしょうがない。



「ゴメン!!弁償するよ!!」

「別にいいって。親に言ったら直してくれるから。」



怪我もないしね、と続ける。



オイ、ちょっと待てコラ。



吹っ飛ばされたにも関わらず、なかったことにされそうになったゴールドは、思わず声を上げかけた。



しかし、寸でで思いとどまる。



寝惚けていただけの彼にこのことを告げ、気に病ませるのも悪い。



釈然としないまま、レッドを見て、お、と思う。



余りだらけた格好を好まないレッドだが、寝起きである今は、グリーンと同じジャージ姿だ。



しかも、借り物らしく、少し大きい。



そんなレッドを見ていると、悪戯心がむくむくと湧いてきた。
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