PKSP
□A punishment from Heaven
2ページ/4ページ
「五月蝿い・・・」
部屋の入口に仁王立ちし、ゴールドを睨みつけるレッドをみて、グリーンは溜息を吐いた。
だから言ったのに。
自ら起きる時は特に問題なく起きるレッドだが、人に起こされた時は、異常に機嫌が悪い。
・・・というより、寝惚けたままで暴れるのだ。
「痛ってぇ〜〜」
文句を言いかけたゴールドだったが、レッドの眼力に負けて、大人しくなる。
それにしても、いくらドアが衝撃を緩和してくれたからといっても、ドアを真っ二つにするほどの蹴りを受けても、大した怪我はしていないようだ。つくづく丈夫である。
「お、オハヨウゴザイマス、レッド先輩・・・」
「これ以上騒ぐなら、窓から蹴り落とす・・・」
ゴールドの背中に冷や汗が流れる。
恐い。滅茶苦茶恐い。
「その勢いで蹴り落としたら、ゴールド死ぬぞ?」
少し離れた所から、グリーンがのんびりと口を挟む。
「ンな暢気なコト言ってないで、助けてくださいよ!!」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと寝起きで機嫌悪いだけだから。」
「これがちょっと!?つーか、オレといた時は普通でしたよ!?」
「自力で起きる時は何もないんだよ。起こされるとこうなる。」
「何スかその裏設定!!」
ゴンッ!!
再び衝撃音が響く。パラパラと、細かいものが落ちる音が続いた。
レッドが壁を殴ったのだ。
「流石にこれ以上壊さないで欲しい・・・」
グリーンがほんの少しだけ、眉を顰めた。ふう、と息を吐いて、レッドに話しかける。
「レッド、起きろ。」
「喧しい、って、言ってんだろ・・・」
膨れ上がる怒気に、ゴールドは焦るが、グリーンは何時もどおりだ。
恐がる様子もなくレッドに近づくと、彼の頭を撫でる。
段々とレッドの瞳に、普段の鮮やかさが戻ってくる。焦点があったのだろう。
「・・・あれ?ゴールド?」
どうしたの?
何時もと変わらないレッドの態度に、ゴールドは泣きたくなった。
・・・この人、実は二重人格とか・・・?
不思議そうに周りを見渡したレッドは、壊れたドアと穴の開いた壁を見て、蒼白になった。
「これって、オレ・・・?」
二人は頷く。隠してもしょうがない。
「ゴメン!!弁償するよ!!」
「別にいいって。親に言ったら直してくれるから。」
怪我もないしね、と続ける。
オイ、ちょっと待てコラ。
吹っ飛ばされたにも関わらず、なかったことにされそうになったゴールドは、思わず声を上げかけた。
しかし、寸でで思いとどまる。
寝惚けていただけの彼にこのことを告げ、気に病ませるのも悪い。
釈然としないまま、レッドを見て、お、と思う。
余りだらけた格好を好まないレッドだが、寝起きである今は、グリーンと同じジャージ姿だ。
しかも、借り物らしく、少し大きい。
そんなレッドを見ていると、悪戯心がむくむくと湧いてきた。