PKSP
□愛し君へ15
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「お医者さんでね、何でもポケモンの医者で有名な博士に憧れて、一人でカントーに来て、マサラで診療所やってて・・・。アンタ、取り上げてもらったのよ?」
懐かしげに笑いながら母は続ける。
「あんまり知らないんだけど、資格だとか特許だとか、いっぱい持ってたらしいわよ?何に使う気だよそんなモン、って、よくバーミリオンが言ってたけど。」
「バーミリオンって、手紙の?」
「そう。レッド君のお父さん。似合わないカップルだったよ。バーミリオンはアタシと一緒に馬鹿やってたような奴だしね。」
幸せな記憶なのだろう。母の表情は優しい。
「十年くらい前に死んだって・・・。」
「ああ、そこまで聴いてたの。」
悩むような間をあけてから、言いにくそうに母は話し出した。
「そうだね。二人とも、亡くなったね。・・・死因は、解らないけど。」
「解らない、って・・・?」
「アンタ、火事がどうのこうのって言ってたよね?」
急に振られて戸惑いながらも、頷く。
「その火事の跡から、死んでる二人が見つかったんだけど、お父さんが言うにはね、可笑しいところがたくさんある、って。」
「解明されてないのか?」
「されてない、というか、・・・火事、で終わっちゃったのよ。」
そんなことって・・・。
じゃあ、調べすらしていない、ということなのか?二人も人が死んだのに?
遺された人間がどんなに辛いかなんて、判りきっているのに!?
自分が怒ってもどうにもならないのは判っている。
でも、やるせない。
「アタシが知ってるのは、これくらいかな?・・・グリーン、大丈夫?」
「・・・大丈夫。ありがとう。」
プー、プー、プー。
「・・・出ない。」
レッドと連絡が取れない。ポケギアもケータイも繋がらない。
「家にもいないし・・・どこ行ったんだアイツ・・・」
何だか居た堪れなくなり、彼を訪ねるも、家はもぬけの殻で。
それならばと電話を掛けるも、繋がらない。
一体、お前は何を考えているんだ?
To be continued.