PKSP
□愛し君へ10
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手帳を開いた途端、ヒラリと一枚の写真が落ちた。この間の、バトルフロンティアで撮った写真だ。ルビーとサファイアに挟まれ、レッドが笑っている。
「アラ、失礼・・・」
写真を拾おうとして、しかしブルーは拾えなかった。
女性が、写真を凝視していた。目を見開いて、まるで怯えるように震えながら。
どうしたというのだろう。何も怖いものなど写っていない、むしろこちらも思わず微笑みたくなるような、優しい雰囲気の写真なのに。
「あの?」
「・・・ハ、ハーライト、さん・・・?」
ブルーの呼びかけがまるで聞こえていないかのように、女性が震えた声で呟く。
ハーライト?誰のことを言っているの?
「あの、その写真の中にハーライト、という人はいませんが・・・」
「あ、ああ、そうですね。すみません・・・知っている方に、この子がとてもよく似ていたから・・・。」
未だ顔色は悪いままだが、大分落ち着いたらしい。レッドを指差し、そう答えた。
「ハーライトさん、というのは・・・?」
「父の教え子だった方です。」
「今はどちらに?」
「さあ、そこまでは・・・。」
煮え切らない態度が気になるが、これ以上訊いても何も答えてはくれなさそうだ。ブルーは連絡先を書いたメモを渡し、挨拶をして家を出た。
「収穫なし、か・・・。」
呟き、溜息を吐く。しょうがない、他を当たろう。
「ハーライトって人のことも、調べてみようかしら?」
レッドによく似ている、と、教授の娘は言っていた。それならば、彼はハーライトという人物について、何か知っているかもしれない。
じゃあ、一旦マサラに帰ろうかしら。そう思った途端、
ピピピピピピピピピ!!
急に電子音が鳴り響いた。驚いて鞄を漁る。
「え!?図鑑の共鳴音!?」
おかしい。この場にはブルーしかいないにも関わらず、共鳴音が鳴っている。急いで共鳴音を切ると、ポケギアと携帯電話に一編に着信が入る。
「ああもう!!何なのよ!!」
怒鳴りながら両方の通話ボタンを押した。
「もしもしブルー、今何処!?」
「ブルー、今ハナダにいるか!?」
それぞれレッドとグリーンからだった。
「今アタシはタマムシよ!アンタたちは!?」
二人ともに聞こえるように、大きめの声で話しかける。
「オレはマサラ。今自宅にいるよ。」
「ハナダのマサキの所だ。」
「何よそれ、バラバラじゃないの!!」
ありえない。三人が近くにいないのに、共鳴音が鳴るなんて。
「そっちでも鳴ったのか!?」
「鳴ったわよ!!故障!?」
「いや、違うだろ。いきなり三台一編に壊れるなんて可笑しい。」
「正確には四台だけどね。シルバーの図鑑も鳴ったから。」
レッドの言葉を意外に思う。シルバーは、レッドにどこか苦手意識を持っている。それなのに、自分から会いに行くなんて・・・。
「とりあえず、今から一度博士に診てもらうよ。・・・行こう、シルバー。」
そう言って、レッドからの着信は切れた。