PKSP
□愛し君へextra5
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始まりは、ボクの何気ない呟きでした。
「ボク、本当はあんまりバトル好きじゃないんですよねぇ。」
レッドさんのお家にルビーさんとサファイアさん、エメラルドさんが遊びに来ていたので、ボクもお邪魔しようと思って訪ねてきた。
最近この二人は、よくカントーに遊びに来ている。今日はレッドさんのところだけど、レッドさん自身がいつもマサラにいるわけじゃないから、ボクやグリーンさんのところにもよく来る。
「なして?イエロー先輩はバトル、楽しくなかと?」
サファイアさんが、不思議そうにボクに訊いてくる。
うん、確かに説得力ないよね。だって、初めて会った時は、バトルしてたもんね。
ま、あの状況で「ボク、戦うの嫌です」なんて言えないよね。
「う〜ん・・・。何て言うか・・・。ポケモンを傷つけたくないんですよ。」
「傷つく?」
「はい。バトルすると、どうしてもポケモンが傷つくでしょ?ボク、それが苦手で。」
そう言うと、サファイアさんは何だかもじもじしている。どうしたんだろ?
「別に、イエローは、バトルが好きな奴はポケモンが傷ついても平気だと思ってるわけじゃないよ?」
レッドさんが苦笑しながらサファイアさんにそう言った。
「そうですよ!!サファイアさんがポケモンを大切にしていることは、ボクもよく知ってますよ!!」
ボクも急いでそう言った。
「わ、解ってるったい・・・。でも、あたし、そげなこと考えたことなかったと・・・。」
ああ、やっちゃった。
別にボクはバトル自体を悪いことだと思ってるわけじゃないんだけどなぁ。
「オレやサファイアにとって、バトルはポケモンとのコミュニケーションの一種だろ?それに、コイツらもバトルを楽しんでる。トレーナーもポケモンも楽しんでるんだから、問題なんてないよ。な?」
レッドさんがそう言ってサファイアさんを慰めてくれた。
「イエロー先輩・・・。コンテストしません?」
今まで黙っていたルビーさんが、急にそう提案した。
「こんてすと、ですか?」
「何で片言?」
レッドさんがちょっと呆れたようにツッコんだ。
だって、あんまり知らないだもの、コンテスト。
「そうですよ!コンテストなら、ポケモンは一切傷つきませんし!!イエロー先輩にぴったりじゃないですか!!」
えっと、ルビーさん、近いです。
ぐいっと身体を乗り出してきたルビーさんは、何だかちょっと必死だ。
「あんた、なしてそげにコンテストば皆に勧めとるんよ?」
「コンテスト人口が少なすぎるからだよ!!図鑑所有者でコンテスト専門って、僕だけじゃないか!!」
どんなにいい勝負してもあんまり解ってもらえないし!!
「と、いうことでイエロー先輩、百聞は一見に如かず、です。」
ホウエンで、コンテストに挑戦してみましょう。
ボクの手をぎゅっと握って、ルビーさんはそう言った。