PKSP
□愛し君へextra4
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父に会いに来た時に、病院の入り口で、レッド先輩と擦れ違った。
・・・様子が可笑しい。
序にいうと、服装もいつものものとは違う。至近距離でなかったら、気付かなかっただろう。
普段は鋭い人なのに、先輩は俺に気付くことなく去っていく。
・・・ちらりと見えた横顔は、今にも泣き出しそうに歪んでいた。
何があったのだろう。この病院から出てきたということは、彼は父と会っていたはずだ。
「・・・・・・。」
どうしても放っておけない俺は、レッド先輩を追いかけることにした。
ピンポーン・・・。
「・・・はい。」
チャイムを鳴らすと、レッド先輩は直ぐに出てきた。
・・・瞳が、赤く充血している。泣いていた、のだろう。
「シルバー?」
滅多に自分から訪ねて来ない俺が来たことに驚いた様子で、レッド先輩が俺の名を呼んだ。
「父と何か、あったんですか・・・?」
レッド先輩の瞳が見開かれる。刹那、その瞳が揺れた。
「・・・何も」
「嘘だ。じゃあ、何でアンタは泣いているんだ?」
「それ、は・・・。」
ピピピピピ!!ピピピピピ!!
レッド先輩が言葉を濁した瞬間、突如機械音が鳴り響いた。
「え!?」
「な、何だ!?」
二人で音の発信源を探す。
「図鑑の・・・共鳴音!?」
レッド先輩が驚愕した声で叫んだ。俺も同感だ。この場には、俺たち以外の所有者はいない。共鳴音が鳴ることは、有り得ない。
レッド先輩の行動は早かった。鞄に手を突っ込み、ポケギアを取り出すと、直ぐに電話を掛ける。
「もしもしブルー、今何処!?」
姉さんに電話をしたらしい。わずかに、姉さんの声が漏れ聞こえる。
「オレはマサラ。今自宅にいるよ。」
何よそれ、バラバラじゃないの、という姉さんの声が聞こえる。
レッド先輩は険しい表情で姉さんと話を続ける。
「正確には四台だけどね。シルバーの図鑑も鳴ったから。」
どうやら姉さんたちの図鑑も共鳴音が鳴ったらしい。
一体何だと言うのだ。
「とりあえず、今から一度博士に診てもらうよ。・・・行こう、シルバー。」
そう言って、レッド先輩は通話を切った。