PKSP
□幸せの唄
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プリンの歌声聴こえるよ
ぼうやもそろそろおねんねだ
「それ、何の歌?」
ラジオから流れる歌に、無意識に合わせていたグリーンは、歌うのを止めてレッドの方を振り返った。
あ、勿体ない。
己の行動に内心舌打ちしながら、レッドは彼の隣に腰掛けた。
「子守唄。聴いたことないか?」
「生憎。」
レッドの答えにグリーンは瞳を丸くした。
そんなに有名な曲なのだろうか?
「それ、有名?」
そう尋ねると、カントーではメジャーだぞ、と返ってきた。
それならば、レッドが知らないのも無理はない。彼自身はマサラ出身だが、両親は違う。よしんば幼い頃に子守唄を聴いたことがあったとしても、全くの別物だろう。
「ラジオでもよく流れているのに?」
グリーンは不思議そうだが、そもそもレッドは普段、そんなにラジオを聴かないし、テレビも見ない。
そう言うと、仙人か、と呆れられた。
「ね、続き、歌ってよ?」
先程の歌声をもう一度聴きたくて、グリーンにねだる。その場の甘ったるい空気に呑まれたかのように、レッドは彼に凭れかかった。
珍しいな、とグリーンは思う。依存を嫌うレッドは、他人を頼ることを神経質なほど嫌うし、甘えることも殆どない。
はじめこそ、信頼されてないのかだとか、頼りないのかだとか、いろいろ気にしていたが、単に彼の性格によるものだと段々と判ってきた。
「どうかしたのか?」
彼が甘えてくるときには、しばしば何かを抱えているときがある。
そのため、心配になってそう尋ねたのだが、レッドは笑って否定した。
「んーん、何にも。」
どうやら杞憂だったようだ。
安心して、レッドの頭を撫でる。レッドも嫌がることなく、瞳を細めて猫のように擦り寄った。