PKSP
□愛し君へ6
1ページ/4ページ
歯車は回る。
くるくる、くるくると――。
ピルルルル。ピルルルル。
・・・ん・・・電話・・・?
ポケギアの呼び出し音で目が覚めた。半ば寝惚けたままポケギアを手に取り、耳に当て――一瞬で後悔した。
『グリーン!!出るのが遅いわよ!!』
何回コールしたと思ってんの!?
大音量で聞こえるカスミの声に、思わずポケギアを遠ざける。
「う、うるさ・・・」
『なぁんですってぇ!?』
さらに大きくなった声に、横でまだ眠っていたレッドの眼が開く。起こしてしまったらしい。ぼんやりとした赤瞳が、段々と明度と彩度を取り戻していくのを見つめ、綺麗だな、と思う。
はっきり目が覚めてきたらしいレッドは、思い切り眉間に皺を寄せた。・・・ヤバい。機嫌が悪いかもしれない。
未だポケギアからはカスミの怒鳴り声が聞こえている。とりあえずレッドの頭を撫でて、機嫌を取ってみた。振り払われないし、それほど悪くないようだ。
「どうか、したの?」
そう尋ねると、未だ怒りを引きずった声で、会議するわよ、あたしの家に来なさい、と告げた。
「会議?何で?」
『最近ポケモンと子どもが誘拐される事件があるでしょう?』
「あぁ、例の、奇病?」
何の気無しにそう言うと、カスミが絶句した。
「ん?どうしたの?」
『アンタ、』
震える声が告げる。
『アンタ、何でそこまで知ってるの?』
「え?」
『それは、トップシークレットのはずよ!?何で知ってるのよ!?』
そうだったのか。どうやってごまかそう。
ぼんやりそう思うものの、寝起きの頭で上手い言い訳が考え付くわけもなく、焦れたようなカスミの声に、いっそ切ってしまおうか、などと考える。すると、急に横から手が伸びてきた。そのまま、ポケギアを奪われる。
「もしもしカスミ?」
『レッド?グリーン、アンタ今どこにいるのよ?』
「遊びに来てて、泊まったんだよ。」
驚くカスミを上手く宥めて、レッドはあっさり言った。
「教えたのはオレだよ。協会から要請があってさ、捜査に協力してくれって。」
『そうなの?』
本当に?
以外と疑り深いカスミだが、グリーンも同感だった。・・・そんな話初耳だけど?
ふと視線に気付いたレッドが、こちらを向いて舌を出した。・・・やっぱり嘘か。
結局コイツはどこで情報を仕入れたんだろうか?
・・・訊いても答えないだろうな。