PKSP

□“日常”への第一歩
1ページ/1ページ

「「「誕生日おめでとうシルバー!!」」」



扉を開けた瞬間に降り注ぐカラーテープの雨と、図鑑所有者たちの綺麗にハモったコール。



予想だにしなかった事態に、シルバーの思考は完全に停止した。



待て、待て待て。



今日は図鑑のメンテナンスじゃなかったのか?グリーン先輩は、そう言ってたし、彼はともかく、ゴールドが秘密にしていられるはずがない。



「せ、先輩ぃぃ!?オレ聞いてないっスよ!?」


……あー。そういうことか。



「うん。だって言ってないし」

「いやいやいや!!何でっスか!?」

「お前だったらすぐバレそうだから」



ぎゃんぎゃん騒ぐゴールドは華麗に無視したブルーが、笑顔を浮かべて近寄ってきた。



「誕生日おめでとう、シルバー!!」

「ありがとう姉さん。でも……これは?」



豪華な料理とケーキ、綺麗に飾り付けられた部屋。どれもこれもがキラキラしたこの空間で、自分だけがひどく場違いに感じた。



「これはって……」



ブルーは、困ったような、でも少し寂しそうな顔で傍らのレッドを見た。



「シルバーの誕生日パーティーだよ」



レッドはさも当然、といった様子で答えた。


誕生日パーティーだなんて。そんなこと。



「おーい!はやくこっち来いよシルバー!!」


わざわざしてくれなくても、いい、のに。



「これくらいでいちいち驚いていたら、やっていけないぞ」



未だに固まっている思考に、グリーンの声が聞こえた。



「これからは、コレが日常なんだから」



日常?



こんなにも騒がしくて、大掛りで、……暖かいものが?



「シルバー?どうしたの?」

「こっちに来てくださいよ!お料理、上出来なんですよ」

「……今行く」



ありがとう、ありがとう。



どうしよう。



幸せ過ぎて、笑ってしまった。





End

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ