H×B

−drowsiness−
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「…あふ」

たまには。と、先輩を誘って外でお昼をとり、残りの休み時間をベンチでぼんやりと過ごしていた正にその時。
先輩の小さな欠伸が私の耳に届く。

「先輩…眠そうですね」
「ぁ…ごめんなさい。…今日、小テストがあって…遅くまで勉強していたから…」

そう話す最中にも、あふ…と二回目の欠伸をする。
そして、バツが悪そうな笑みを浮かべた。
…そんな先輩が、何だか可愛く見える。

「んん…駄目ね、今日の私。今にも寝てしまいそうだわ…」

教室に戻った方が良いかしら、なんて呟く先輩。
少しでも長く先輩と居たいと、そう思ってる私としては、それに素直に頷く事が出来なくて。

「先輩、良かったら…どうぞ」

そんな事を口にしながら、自分の膝を軽く叩いた。
そうしてから、先輩の反応が気になって視線を向ける。

「ぇ…ぁ…」

予想通りと言えばその通り。

驚いたような顔。その頬は朱に染まっている。

「遠慮、しなくて良いんですよ?」
「え…遠慮、とかじゃなくて…、…じゃあ、お言葉に甘えて…」
ぎこちない動きで私の膝に頭を乗せる先輩。その微かな重みが、心地よく思えた。

「…困ったわ」
「何がですか?」

先輩の髪をそっと撫でながら問い掛けてみる。

「…眠気、どっかに飛んじゃったみたい…」

ドキドキしすぎて…

先輩は、そう小さく呟いた。

「困ること、ないじゃないですか」
「だって、眠かったからして貰ったのに…」

そう言って身体を起こそうとする先輩を、やんわりと制する。

「ゆかり…?」
「もう少し、良いじゃないですか」

そう言って、再び先輩の髪を撫でる。
くすぐったそうに笑う先輩が、凄く可愛いと思う。


ふぁ…、と二人同時に欠伸がでる。





…のんびりし過ぎて、授業に遅れ掛けたのはしばらく経ってからの事…――




END



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