H×B

−conversation−
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「先輩、今日はありがとうございました」

そう言って、ゆかりが軽く頭を下げてくる。
買い物に付き合ったくらいで大袈裟よ、と苦笑をすると、ゆかりは首を横に振った。

「先輩と買い物に行くと、色々学べる事も多いんです。画材の選び方とか、凄く参考になりますし」
「そう?」
「そうなんです。何だか、俄然やる気が出て来ました」

ゆかりのそんな言葉を聞いて、少しだけ昔を思い出す。

初めて自分で、欲しかった画材を買ったとき。

今のゆかりみたいな顔、してたのかな…とか。

そんな事を考えたら、自然と笑みが浮かんでしまった。

「…先輩?」
「…ごめんなさい。ちょっと、今のゆかりと昔の自分を重ねてしまって…」
「昔の先輩…」

ちょっと、口にしてはいけないワードだったかしら。

そんな風に思ったのは、ゆかりが如何にも興味津々です。といった眼で見てきたから。

「…そんな顔しても…たいして面白い話は出て来ないわよ?」
「先輩の話が聞けるなら、なんでも」
「それはそれで、ちょっとハードル高いわね」
「そうですか?」

そうよ。と小さく呟く。

ゆかりにとって、そんなに面白い話題でもなさそうだけど…。

少しだけ、昔話をする事にした。








…話を聞いて、ゆかりがやけに感心したり、共感したりしていたのは、また別の話…――






END



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