H×B

X'mas
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「クリスマスプレゼント…ですか?」
「うん、クリスマスプレゼント」

槙先輩の言葉に首を傾げる。
…いきなり何が欲しいか聞かれても、それはそれで困るものがあって…。

何でも良いわよ。と、隣で言う先輩に失礼だとは思いながら溜め息が漏れた。

「唐突過ぎて何も浮かびません」
「遠慮、しなくても良いのよ?」

遠慮とかじゃありませんから…気付いて下さい、先輩。
…勿論、口に出すことなんて出来ないんだけど。

「…というか、いきなり呼び出すから何かと思えば…そう言う事ですか」
「…ゆかり、もしかして怒ってる?」

…それはないです。

そう言いたかったけど…何か少しだけ、先輩に対して意地悪をしてみたくなった。

「ご、ごめんなさい…」

私が無言でいると先輩が小さく謝ってくる。


…というか。何処に私が怒るという要因があったのだろうか。
私の意地悪も手伝ってか、先輩は慌てたような困ったような表情になる。

その顔が何と言うか…凄く、可愛い。

「…ゆかり?」
「…プレゼント、決めました」
「え…本当?」

心配そうに私の顔を覗いてきた先輩にそう告げる。
私の機嫌が良くなったと思ったのか、少し笑顔を見せる先輩。

そんな先輩に、こう続ける。

「はい。…プレゼントは先輩が良いです」
「………私?」
「はい、先輩です」

キョトンとする先輩が、また可愛かった。
やがて意味を理解したのか、その頬が赤みを増していく。

「…ゆかり、あまりそう言う冗談は…」
「冗談じゃないですよ。私は、槙先輩が欲しいんです」

キッバリと言う。

そんな私の様子に、今度は先輩が溜め息を吐いた。


「…で。先輩は何か欲しいもの、ないんですか?」
「私?」

んー…と考える様子を見せる先輩。

まぁ、先輩を貰うと言った以上、私もそれなりの物を…―

「じゃあ、その…私は…」
「はい」











「…ゆかりを貰うわ」







…照れた様にはにかみ、そう言った先輩が物凄く可愛かったことは言うまでもない。







―FIN―


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