『それにしても意外だったなぁ…』
思い出して思わず笑みを浮かべてしまう私の前で、その"意外"の張本人は不機嫌そうな顔をしている。
『まさか白哉が子供の頃は血気盛んな少年だったなんて。』
ーーーそれはつい先ほどのこと。
白哉の誕生日ということで、従者さんを連れた夜一さんが贈り物を持って朽木邸を訪れた。
「白哉坊もすっかり落ち着いたもんじゃのう…」
そんな夜一さんの呟きを聞いて、気になってはいたものの訊けずにいた疑問が口をついて出てしまったのだ。
『白哉って、どんな子供だったんですか?』
きょとんとする夜一さんと、僅かだけど表情が固くなる白哉。
「…なんじゃ、白哉から聞いたことはないのか?」
『ないです…気になります…』
白哉の視線を感じるけれど、その時の私の中では完全に興味が先行していた。
「……夜一。」
「よかろう。話したからといって減るものでもあるまいし。」
言外に話すなと牽制する白哉の圧もどこ吹く風の夜一さんは、からからと笑って昔話を聞かせてくれたのだった。
そして冒頭に至るのだけれど…
「…四楓院夜一……余計なことを。」
夜一さんが帰った後も、白哉のご機嫌は斜めのまま。
『余計なことって…。本当は私ずっと気になってたんだ。白哉は話してくれないし、清家さんとかお邸の人たちも口が固いし…』
この感じだと、きっと白哉が口止めしてたに違いない。
…そんなに知られたくなかったのかな。
そう思ったら何だか申し訳なくなってきた。
『……白哉。』
名前を呼びつつ軽く着物の袖を引っ張る。
『勝手なことして、ごめんなさい…。白哉がそんなに昔のことを知られたくなかったなんて思わなくて…』
白哉の方を見られず俯いたまま告げると、大きな手が頬に添えられ軽く上向かされた。
『……?…白……っ!?』
どうしたのかと思えば、そのまま頬を抓られて。
驚いて固まる私を見て、漸く白哉も表情を緩めた。
「これで許してやろう。」
『…ありがとう、…ございます…』
「…驚いたか?」
『…それはもう。もっと寡黙な子だったのかなって思ってたから。でも、何となく今と通じるところもあるよね。白哉、冷静に見えるけど内面は熱いというか…感情豊かだなと思うことがあるし。』
だからだろうか。
驚きはしたけれど不思議とすとんと腑に落ちたのだ。
『それに…そういう子供時代も、今の白哉を作ってる大事な一部でしょ?そこも含めて、私が白哉を好きなことには変わりないよ。』
私の言葉に、今度は白哉が驚いたような表情を見せる。
「……全く、お前と言う奴は…」
白哉の手がぽんぽんと頭をなでる。
「それで言うのなら、お前と過ごした時間も私の一部だな。」
『その同じ時間が、私の一部にもなってるんだね。』
顔を見合わせて微笑み合う。
愛おしくて仕方のない人と歩んだ時間が私の一部になっている。
恥ずかしくてくすぐったい気分だけれど、それ以上に溢れる幸せな気持ち。
『生まれてきてくれてありがとう、白哉。』
願わくはこの先もずっと、貴方の隣で同じ時間を歩んでいけますように。
♪拍手ありがとうございました♪
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白哉様の誕生日に滑り込み!!
何年振りの更新でしょう…。口調その他が不安ですが、愛は込めました。
これからもずっと大好きです…!
2019.1.31