クラゲの皮をかぶった人魚姫
□6Fr.
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風の唸るような音の中、マコとレイちゃんを呼ぶ声がする。目をやるとハルとナギも俺と同じように海に身を投じていた。
「友美!?」
ここに俺がいるとは思ってもみなかったのだろう。目を開いて驚かれたが、今はその反応を楽しんでいる余裕はない。レイちゃんの方に向かっていたナギが、波に呑まれるのが視界に入る。
「怜と渚は引き受ける。真琴を頼んだ」
「わかった」
ハルも俺のことを追及している場合じゃないと分かっているのだろう。短く答えると、マコの救出に向かった。
まず近くに漂っていたレイちゃんを拾う。
「友美さんっ!?」
俺の名を呼び驚きを表すが、構っていられない。
「力抜いて俺の首に手ェ回せ」
出来なければ意識を落とす。
「手ェ離すで?」
声がとがるのはこの際仕方がない。
素直に指示に従って首に手を回すレイちゃんから手を離し、両手が自由になったところで、今度はナギの腕を掴んだ。
「トモちゃん!?」
「はぐれんようにこのまま手ェ持っとくけど、泳げるか?」
「あ、うん。僕は大丈夫」
「怜も無事や。真琴もハルに任したから大丈夫やろ。ほな、行くで」
今はとりあえず海から出ることを考えなければ。波の流れに従いつつ、近付いてくる島を目指した。