丸魔学園

□Halloween
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 おばけカボチャを作るために色んなお店を回り回って、やっと理想のカボチャに出会えた。
 カボチャを両手で抱きしめる様に抱え、私は帰途についた。






 その日の私は、朝からご機嫌だった。学校終わりに健ちゃんと有利とでジャックを作る約束をしていたから。鼻歌まじりに“早くジャックに会いたいなぁ”なんて浮かれていた。
 反対にヨザの機嫌は最悪だ。いつも準備してくれる朝食も、お昼用のお弁当も作らず、何も言わずに出勤していった。





 “今日帰らないから”
 一言メールが届いたのは昼休み。いつも以上にそっけない、言い訳さえないメールに少し腹が立ったけど、ジャックの作成、という楽しみがあった私は特に落ち込むことはなかった。








「ジャックー!!」

 健ちゃん、有利とともに帰宅する。部屋にカボチャを取りに行くと、置いていたはずのカボチャがなくなっていた。

「ジャックがさらわれたー!!」

 急いでリビングに戻る。健ちゃんと有利はキョトンとした目をこちらに向けた。
 ジャックの名を呼びながら、彼が隠れられそうな場所を探す。すると健ちゃんが思い付いた様に呟いた。

「もう食べられちゃってたりして……」

 縁起でもない!! でも可能性はないとは言い切れないのでキッチンへと入る。

「ジャックー!!」

 そこにはジャックの無残な姿があった。明らかに調理した後の、残飯。
 朝、部屋を出るまでは確実に私の部屋にいた。そして私が帰った後、見るも無残な姿になっていた。考えられる犯人は、一人しかいない。

「ヨザかぁ!? ヨザがジャックをっ!!」

 ジャックの仇ぃー! っと喚く私に、健ちゃんと有利がどうどうと落ち着かせようと声をかけてくる。

「うぅ。ジャックを作ってヨザをびっくりさせようと思ってたのに……」

 すごーく、仕様もないことなのに、楽しみにしていたことを取り上げられると本当に悲しい。自分の意思とは別にポロポロと涙が零れた。

「うわーん。ヨザの馬鹿ぁ!!」


* * * * *



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