丸魔学園

□new year
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視界の隅でオレンジ色がフワフワと揺れる。
背中から伝わる温もりが、何だかとても心地よかった。

+ + + + + + + 

突然起こされた午前3時。そのまま車に揺られて約3時間。
そして眠い目をこすりながらヨザに手を引かれるままに歩いていた。
辺りがほんのりと赤く染まっていく。その光景を見守るのは私たちだけじゃない。

しばらく歩いてようやく開かれた視界。眼下には大海が広がっていた。

「間に合ってよかった」

隣でヨザックが小さく呟く。スッと海を指差してニッコリと笑った。
その表情から目を離すのが惜しい、と思いながら指の差す方へ視線を移す。そこには赤々と燃える太陽が海面から顔を覗かせている。
今年最初の日の出だ。

「こんなに冷えて……悪かったな。でも、新月と2人で初日の出見ときたかったんだ」

後ろから覆いかぶさるようにヨザに包まれる。
半円から徐々にまん丸くなる太陽から目を離さずに、ヨザの腕をギュッ、と抱く。

『ヨザはあったかいから、寒くても平気だよ。………にしても、綺麗なお日様だね。あったかくて、おっきくて、オレンジ色。ヨザみたいだ。今年も、このお日様みたいに私を包んでね』

言ってから恥ずかしさに頬が火照る。照れ隠しにヨザの腕を抱く力がぐっと強くなった。

「喜んで従いましょう、お姫様。新月が俺の傍から離れない、という条件付きだけどな」

耳元で響くハスキーボイスに、さらに熱が帯びる。

『………オネガイシマス………』

今度こそ耐えられなくなって俯く私の傍で、ふんわりと笑うヨザを空気で感じた。


今年一年も、ヨザと幸せに過ごせますように………。


初日の出に願いを込めて、再び始まる1年に思いを馳せた。

3rd.Jan.2009

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