丸魔学園
□the 7th. night of July
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『う〜やっと終わったぁ……』
定期テスト最終日。何とか悲惨な結果は免れたと思う。
大きく伸びをして、帰宅準備を始める。
「ねぇ、新月。この後空いてる?」
筆記用具を鞄に詰めている時、健ちゃんに声をかけられた。
私はいそいそと動かしていた手を止めて、健ちゃんに目を向ける。
『……いや、特には。ヨ……彼もまだ仕事だし…』
「グ……彼氏とは約束あるんだ。でもま、仕事終わりってことは夜だろ?なら付き合ってよ」
つい出てしまうヨザの名前を慌ててごまかすのは、ここが教室だから。
迂闊なことは言えない。
止めていた手を動かしながら、健ちゃんに問う。
『…構わないけど……何処に?』
「それは着いてからのお楽しみ!渋谷!新月大丈夫だってさ〜!!」
自然な動きで私の鞄を持ち、有利に声をかけながら扉へ向かう。
「ちょっと待てって」
置いていかれそうなのは、どうやら私だけではないらしい。