しのもと部屋
□天に散った血と涙と微笑みと。
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艶やかな黒髪が風になびく。
今日はとても天気がよかったので、窓を開け放していた。
その城の一室に黎柴はいた。
――本当に今この世界で戦争が起きているのだろうか――
そう思わせるくらいのどかな昼下がりだった。
―すると、戸をたたく音がした。
「よろしいでしょうか?」
「どうぞ」
そう言うと兵士が部屋の中に入ってくる。
「姫さまがお呼びです。」
「私に・・・ですか?」
「はい。」
―あの邑李姫が自分に何の用があるのだろうか・・・?―
そう思いながら姫のいる部屋へ足を運ばせる。
そして部屋の前に立つと戸を軽くノックした。
「失礼致します。黎柴です。私に御用とは・・・?」
「・・・実は
私の護衛に就いて欲しいんですの。」
と、言うと姫はふわっと天使の様な微笑みを浮かべた。
「私に、ですか?
・・・ですが、私よりも腕の立つものは沢山いるではありませんか」
「いいえ・・・私は黎柴を信頼しているからこそ、頼んだんですの。」
・・・まさか、姫に信頼されているなど、思いもしなかった。
「・・・わかりました。それでは失礼致します。」
―自分の部屋に戻ると、疲れていたのだろうか・・・
そのまま黎柴は眠ってしまった。