怖い話

□サバイバルゲーム
2ページ/2ページ

俺はもうパニック状態だったんだが、なんか伏せたまま体が動かない。ああいう時って逆に悲鳴とか出ないもんなんだね。たぶん30秒ぐらい俺はその女と見つめあうというかにらみ合ってたと思う。女の顔が俺の顔から50cm位まで近づいてきたところで、俺はやっと体を起こせたが、足に力が入らない。腰が抜けて立てない。座り込んだままケツであとずさって、今でも馬鹿なことをしたと思うけど、その顔をエアガンで撃った。そしたら女の顔が凄い恐い顔になって上目遣いに俺を睨んで、すーっと消えた。

その後はゲームどころじゃなく、俺は体調が悪いと言って休憩所のターフでライトとラジオをつけてじっとしてた。みんな楽しんでるのに水を差しちゃ悪いと思ったから、俺が見たもののことは誰にも言わなかった。

翌朝解散になって、帰り道、車に乗せてくれた友人にだけそのことを話した。その友人は意外なことに

「・・・お前も?」

と聞いてきた。そいつの場合は、エアガンにつけたスコープを覗くたびに、視界いっぱいに女の顔が見えていたらしい。

それからあのフィールドでのゲームにはどうしても参加できなかった。ああくそ、今思い出してもだめだ。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ