怖い話

□後悔
2ページ/5ページ

その箱を彼は二世代隔てた今でもいまだに開けられずにいるそうです。
僕は、その箱を見たときから、なんとなく言いようの無い悪寒を感じていました。
僕は霊感があるほうなのでしょうか、
時々、上半身と下半身のつりあいがとれてない人とか、
足の足りない(もしくは無い)小動物等を見かけることがあるのです。
なので、僕は、T君とYさんがかわりばんこにその木箱の節目をずらしたり、
引っ張ってみたりしているのを見ていて、なぜかひやひやしていました。
開け放ってしまうことを、僕の霊感が恐れていたんだと思います。
結局、その日はその木箱はあきませんでした。
店を出て、帰りのタクシーがつかまるまでの5分間くらいしか
時間が無かったので、さすがに無理でした。
その後、その日は全員何事も無く帰宅しました。

次の日、I君が前日私以外の2人に好評だった木箱を会社に持ってきて、
昼休みにデスクワークをしていた私の元へ、Yさん、T君を連れてやってきました。
私は、その途端、付き合いが悪いと思われるのを覚悟で、彼らに忠告しました。
「その箱は、開けないほうがいいと思う。」と。
彼は、いぶかしげな顔をしながら、僕に、
「兄と同じことを言うんですね。」と返しながらも、得意げに、
「きっと近いうちに開けて見せますよ。」と言って、デスクワークを
している私に気を使い、それきり昼休みは話しませんでした。

そしてその日の仕事が終わった後、4人で、桜見をしようと言うことになり、
近くの公園でYさんのお母さんの差し入れで、筑紫のお吸い物をすすりながら、
桜を堪能していました。そんなときに、T君が、
「この素晴らしい風景を、四人一緒に写真に収めておこう!」と言って、
ポラロイドカメラを出し、それでひときわ幹の太い立派な桜をバックに
写真を撮りました。見事なな写真が撮れました。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ