過去拍手倉庫

□やさしさ
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あの時あなたは言いました。


最初は意味がわからずあなたに尋ねました。


するとあなたはこう言いましたね。



「どういう意味もありません。言葉のとおりです。」と。



到底受け入れられる言葉ではなかったのだけど


あなたはわたしが受け入れるかどうかは もはやどうでもよかったのですね。


わたしのことなど御構い無しにあなたはあなたの思いを実行しました。


わたしはあなたが言った言葉どおりに未だに成し得ないのです。


だからこうやって今までと変わらずここに通っているのです。


あれから毎日通っていますがあなたに会うことはありません。




京の街でもあなたの姿を見つけることすらできません。



けれども一緒に通いつめたあんみつ屋は相変わらずそこにあります。


みんなで食べたおそばやも相変わらずお客さんが多いです。


あなたがわたしにくれた簪を買った小間物屋も相変わらずひっそりと開いています。


あなたがわたしにくれた簪も相変わらずわたしの手の中にあります。


毎日毎日簪を持ってあなたに会うことを願って京の街を歩いています。





風景は 街は 相変わらずなのに あなただけがいません。





あなたはどこに行ってしまわれたのでしょう。


―――わたしのことなど飽きてしまいましたか。


わたしのことなど嫌いになってしまいましたか。


それならそうと言ってくれればまだ諦めもつくのに。





あなたがわたしに言った言葉はあまりにもやさしくて。





それでいて残酷でした。




わたしがあなた以外の人と幸せになれるはずがないのに。




わたしの幸せはあなたと居ることで
あなたが居る事で初めて成立つのであって
わたしひとりではあなたの言葉どおりに到底なるはずがないのに。







「あなたは、わたしとでは幸せに成れません。
あなたは、わたし以外の人と幸せに成ってください。」







沖田さん。あなたはとても優しくて。









優し過ぎて残酷でした。





また悲恋ですみませんっっだってだって書き易いんだもん(´Д⊂

次回は甘甘にしよかな。甘と悲恋交互にしてみるとか・・・


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