□でも私は貴方より先に生まれたのですから
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私は貴方と違って、傲慢です。

それに、私は貴方と違って出来も悪い。

どこが、と聞かれれば全て、と答えるのが妥当なんでしょうけれども。

じゃあとりあえず頭、と戦闘力だとでも言っておきましょうか。

人望だって無いし、繊細な心だって持っていません。

あるのはこの楽天主義ですか。

なるようになる、なんて素晴らしい言葉なのでしょうかね。

そりゃあね。

貴方と比べられてカチンとくる時もありますよ。

容姿だって、私は貴方より劣っているから、女性にモテる貴方が羨ましいし妬ましい。

だから、天才だとか、我愛羅と比べれば、とか。

色々言い訳を並べて、私は自分を正当化しちゃうのです。

でも、ですね。

一応、私は貴方の兄、という立場が有るわけなんですよ。

だから、ですね。

戦闘中に庇われたりなんかすると、かなり恥ずかしいんですよ。

もちろん、有り難いとも思うわけですが。

でもねぇ、やっぱり悔しいんですよ。

弟に庇われちゃうと。

役に立たないような。

錯覚に陥っちゃうんですよ、頼られたいのに。

手を、差し伸べたいのに。

だから、ですね。

私は出来る事を探しているんですよ、貴方のために。

私も口が上手い方では有りませんが、悪知恵は働く方だとは思います。

ちっと位、頼って下さいよ。

ねぇ、風影様。

私はその為に、貴方よりさきに生を受けたのですから。

私に、頼って下さいよ。

「困った事があったら何でも俺に言えよ、我愛羅」

「わかった」

いっつもそればっかり。

ちっとも頼ってくれやしない。

何でもいいからお兄さんぶらせてくれたっていいじゃないですか。




おわり

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だけど我愛羅はちゃんと君を頼ってるよ。
気づいてないだけ。



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