翠の糸
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「お疲れ。ちょっと呑んでかない」
「お疲れ様です。珍しいですね、いいですよ」
雪のちらほらする閉店後のGreen's Bar
着替えを済ませて緑さんがシェイカーを取り出す
「なにが飲みたい?」
「ここで飲むんですか」
「いや?」
「いえ・・・ではカシスオレンジを」
「かしこまりました。僕の配合だけど。
公輝さんのじゃなくてごめんね」
「いえいえ。何かお手伝いしましょうか」
「いいからいいから、座ってて」
静寂。疲れた目を揉む。
まどろみの中で夢の世界と現実の世界が入り混じる。
「お待たせ」
「ありがとうございます」
「ていうか、これ誰の?」
「あら、恭子さん」
「カシスオレンジ?」
「緑さんが誘ってくださって。
何か作ってくださるって言うんで
お願いしたんです」
「緑の前では、カシスオレンジなんか呑むのね」
「そういう気分だったんです」
恭子さんは