オリジナル小説
□白き想い
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さて、一体ここはどこだ?
見渡す限り森。
私はコンクリートのジャングルにいたはずなのに…
『あ、いたいた。へぇ、綺麗な髪だね』
「あなたはだれ?」
『私はこの世界の住人で迷い子の案内をするのがお仕事!名前は紫苑!宜しく!!』
「私は花野庚(かのえ)」
『庚だね!』
「ところでこの世界って?」
『あぁ、あなたたちで言うところの異世界でファンタジーの世界で並行世界よ』
「????」
『簡単に言ってしまえば貴女のいた世界じゃないの。たまにいるのよ。世界と世界の隙間に落ちてしまってこちらがわに来てしまう人が』
「それがたまたま私だったって話なのね。ありがとう説明してくれて、えっと…紫苑」
『説明が理解出来たならすぐ移動するわよ。この森はあまり人間が好きじゃないのよ』
「そうなの?では、」
そう呟くと庚は立ち上がり森に向かい、
「邪魔なのに説明を聞かせて頂く時間を頂きありがとうございました!今すぐ出て行きますので安心して下さい」
庚は森にお礼を言う。その行動に紫苑は
『初めてだわ、貴女みたいな人間は…』
驚きを隠せないでいた。
その時
ボト
「なんか落ちたよ?何これ…卵?」
『!?森!どういう事!?』
ザワザワ
『これが我等の答だ』
「今のが森の声…なんて暖かいの」
『はぁ、庚。この卵なんだけど、貴女この卵を孵化させないと帰れないわ』
「え!?すぐ帰れるんじゃ」
『森が嬉しかったみたいで貴女を仲間と認めるからこの卵を孵化させろって事になっちゃったのよ…』
「…解ったわ。責任を持って卵を孵化させるわ。私の世界に戻っても私の居場所なんてないし、ここなら見付けられる気がする!」
『呑気ねぇ。まぁ、泣かれるよりいっかぁ、ところで聞きそびれたけど庚の髪の色って元々?』
「!っそうよ。気味悪いでしょ。人間がこんな白い髪をしているなんて。しかも眼もこんないろしてるのよ。」
『ふーん。私は綺麗だと思うわ。だって綺麗なお空の色じゃない!』
「!!ありがとう」
話は終わり庚は黒い卵を持ち、そのまま紫苑のあとに続く。森を抜けるとそこは小さな村だった。