シアワセノウタ

□第一話〜ハジマリノウタ〜
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「気持ち良いな」

寮の外に出て歩いていると気持ち良い風が吹いた。

どこからか風に乗って綺麗な歌声が聞こえた。

「歌?」

何処からか聞こえた声に反応した。

いつもなら気にすることは無いが…アルヴァは何故か気になった。

気付いた時にはその歌が聞こえる方に向かってた。

「一つの願いが全ての始まり…」

ハッキリ歌声が聞こえた。

そこは寮の近くにある公園のはずれ…大きな木がある場所だった。

「願いは強い思いとなり世界に響く…」

歌っていたのはアウリアの青い制服をきた少女。

「思いはある一人の人間に届く…」

去年まで見たこと無かったから…今年入学試験に合格したのだろう。

「その人間は願いを……きゃ…!?」

「大丈夫か」

少女は転がっていた石に躓いた。
足元見て無いからだろう。

アルヴァは思わず声をかけてしまった。

「大丈夫。…もしかして…唄、聞いてた?」

「聞いてたが
…上手かったな」

「あ、ありがとうございます!私はこれで…」

逃げるように少女は立ち去った。

(聞かれたの…恥ずかしかったのか?)

そして…。

「時間ヤバッ!!」

アルヴァはすぐに食堂に向かった。





二人共いなくなり静かになったそこに…少女が現われた。

黒い傘をさし、黒いゴスロリ服を着た…白髪黒目の少女…。

「あれが唄姫の力を継ぐ者…楽しみなの」

少女は楽しそうに呟いた。

「歴史は繰り返されるもの…。世界が滅びない限り、ね…」

少女は空を見渡す。

「次代の唄姫さん、君達は何が出来るかな?」

少女は唄を唄っていた少女とアルヴァが去った方を見た。

「少しは面白い選択をして欲しいの」

少女は実際には見えない、遠くにある何かを見た。

「メルは楽しみにしてるの」

そう言って、少女は姿を消した。
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