白と黒の翼

□始まりの翼
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森の奥、太陽の光さえ届かない暗い場所に一人の少年がいた。

「これで良いかな…」

少年は拾った石を見て呟く。

ただの石では無い。
魔力を宿した石《魔石》
それが石の正体。


少年はほぼ毎日、普通の人が来ない森や洞窟などに行って、珍しい物を探していた。

そうして見つけた物を売って生活していた。

でも今日は違った。
今日は大切な友達の為に魔石を探していた。

友達は魔法の研究をしていた。
魔法は本来人間は使えないもの。
魔石や魔具と呼ばれる道具を使うことで使用出来る…。

ただ…翼を持つ者は道具無しで使用出来る。

翼は人間に無いものを沢山持っていて、人間に幸せも不幸も与える存在。
人間より、強い力を持つ存在。

別に羨ましいとは思わない。
少年は人間であることに誇りを持っていたから。
゛覚えて無い゛が母と父もそうだったと信じたい。

「目的の物は見つかったし、早く帰ろう」

少年は森から出る為に、歩きだした。

今日は久し振りにゆっくり友達と過ごせそうと思いながら…。



少年はこの時…

何も知らなかった…

これから起こることを知る術は無かった…

今まで当たり前だったことが当たり前では無くなること
を…

少年は知る…

世界にある、全てのものに否定された存在を…
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