シアワセノウタ
□第一話〜ハジマリノウタ〜
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一つの願いが全ての始まり…
―父さんたちは、もうかってこないの…?―
小さな男の子は自分の祖父に聞く。
祖父は悲しそうに言った。
何時か帰ってくる、と。
―ウソだ…―
呟く男の子を見て、祖父は違うと言った。
―父さんたちはもうかってこないんだ!ゼッタイかえるって言ったのに…おわったら…へいわになるって、シアワセになれるって…―
祖父は何か言おうとしていた。
―父さんたちのウソつき…―
祖父は何も言わなかった。
―新暦997年・セアメーレの月・7・風の日―
―カルセリア学園・男子寮―
「夢、か…」
自室で眠っていたアルヴァは夢を見た。
子どもの頃の夢。
父さん達が死んだと聞いた時の夢。
仕事に行ったまま、絶対帰るという約束を果たさなかった…嘘つきな親の夢を。
ここはカルセリア学園。
ギルドが経営する戦闘技術を学ぶ為の学園だった。
この学園はある程度の年齢によって、三つのクラスに分けられている。
《フレリア・クラス》《アウリア・クラス》《シルリア・クラス》
フレリアは一番下のクラスで、十一〜十三歳までが入学するクラス。
普通の勉強が中心だが戦闘技術の授業もある。
アウリアは十四〜十六歳の奴が入学するクラス。
戦闘技術が中心になり、このクラスで退学する者や入学する者も多くなる。
最後がシルリア。十七〜十九歳が入学するクラスで、授業のほとんどが戦闘技術・知識になってくる。
三年間勉強する事で上のクラスに進めるようになっている。
この学園は三年に一度しか入学試験をやらないから年齢差があるのは仕方がないことであり、なんでそうなってるかはアルヴァは知らない。
今となっては、生徒はほとんどが孤児なので一、二歳違うのは気にならないのだが…。