シアワセノウタ

□マナブコト
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三十分後―

「見つけたよー!!」

「ぼくも…見つけました…」

別々の茂みからニアとレクトが出て来る。
その手には薬草が握られていた。

「俺も見つけた。これで四つか」

「そう、ですね…」

レクトは体力の限界か、アルヴァに薬草を渡すとその場に座り込んだ。

「レクトはいつになったら体力つくんだろうネ〜」

「ニアさん…あまり、言わないで…下さい。気にしている、ので…」

「ニア、あんまりレクトをイジメルなよ。セアは見つけられたか?」

アルヴァは振り返るがそこにいる筈のセアはいなかった。
もう一度名前を呼ぶが返事すら返ってこない。

「あの、もしかして…」

「もしかしなくても…」

「セア…迷子?」

三人の顔に焦りと不安が現われた。




「ここ…どこだろう…?」

三人がセアがいない事に気が付いた頃、セアは暗い森の中を一人彷徨っていた。
薬草を探すのに夢中でいつの間にか三人と離れてしまったらしい。

「さっきまでいた場所、こんなに暗かったかな…?」

暗く不気味な森の中をセアは恐いと思いながらも進む。

「ニアちゃ〜ん、どこ〜。アルヴァく〜ん…、レクトく〜ん…」

三人の名前を呼ぶが返事は返ってこない。

「誰かいませんか〜…?」

誰の返事も返ってこない。
誰もいない事が分かるとセアの心は恐怖感と孤独感でいっぱいになる。

この時セアは気付かなかった。
気付けなかった。
人以外のモノが近くにいる事に―

「きゃ!?」

何かが右足に絡み付き、倒れてしまった。
なんだろう、と思い足を見ると太い蔓が絡まっていた。

セアは嫌な予感がした。
真っ青な顔でその蔓が何処から伸びてるのか見る。

「い、や…」

セアが見たのは一体の魔物。
赤い大きな花に大きな口を持ち、数え切れないツルを持った、セアが知らない魔物だった。

無数の蔓が槍のように鋭くなる。
それは全てセアに向けられる。

「や…だよ…」

先程とは全く違う恐怖を感じた。
死の恐怖―

槍のような蔓がセアを襲った。
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