うえきの法則
□PRESENT
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ぎゅう、と植木を包む腕に力を込める。
熱を持っているのは体か、呼吸か、心か。
俺か、植木か。
「だから――」
プレゼントなんて、要らないから。
ただただ、願う事は。
一緒に、二人で。
「」
「コバセン」
次の言葉を紡ぐ前に植木が口を開く。
予想外で少し驚き声が裏返る。
「なっ、なんだ?」
「俺、いつもコバセンに助けてもらって、守ってもらってばっかだから、何にも返せてないから、何か俺にも出来る事ないかと思って、それで、何でも良いからお礼がしたかったんだ」
「うん」
「本当は驚かそうと思って、秘密にしておきたかったんだけど、考えてもコバセンが欲しがってる物なんて分からなくて」
「うん」
「だから結局聞きに行ったんだけど…。その時のコバセンの答えにムカついたのもあるけど、半分は自己嫌悪で、八つ当たりでコバセンの事避けてた」
「うん」
植木の言葉が途切れる度に背中をぽんぽんと叩き、うんうんと頷く。
それに安心したのか、強張っていた体も、徐々に体重を預けてくるようになった。
「…だから、ごめん」
最後にそう言って、ぎゅ。とシャツの裾を掴まれた。
「…あ〜ったくよー!!」
「?」
わしわしと頭を撫で回し、力を込めもう一度抱き締める。
「コバセン苦しーって///」