うえきの法則
□PRESENT
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ガラリ
息を切らし教室の扉を開けると、見慣れた鮮やかな緑色の髪が目に入る。
「おい、うえき…」
おそるおそる後ろ姿に声を掛けてみるが返事が無い。
「植木」
「…」
「おいってば」
「…」
「こっち向けよ」
しーん。
「………」
かちーん!
(このやろう…)
流石にここまでシカトされたらいくらこの温厚で寛大な俺でもムカつかねえ訳がない。
強引に肩を掴み振り向かせ、顔を見るより先に力任せに抱きしめる。
「わっ、ちょ、コバセン?!」
「…やっと口開いたな」
とりあえず一安心して腕の力を弱め顔を覗き込むと
「苦しいよ…コバセンのばか」
頬を紅く染めて口を尖らせた植木の顔があった。
「馬鹿とか何だ馬鹿とは。折角人が謝りに来たってのによー」
やっと植木の声が聞けた。顔が見れた。の肌に触れられた。
ついつい顔がにやけてしまう。
(やっぱ可愛いわコイツ…)
くしゃりと緑色の髪を撫でてもう一度、今度は軽く抱きしめ植木の肩に顎を乗せる。びくりと植木の体が一瞬強張るのを感じたが気にしない。
「ごめんな、植木。俺が悪かった」
「折角植木が俺の為にプレゼント考えてくれたのによ」
「ほんっとデリカシー無いよな、俺」
一言一言を植木の耳元で囁く。唇が触れそうな位近くで。
「でもな」
「欲しいものが無いって言ったのは本当だ」
「お前がいれば、何もいらねぇ」