うえきの法則
□Love*parade
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「んー?この曲はオカンか。なんやろ。ちょお待っててな」
そう言って二メートル程離れ携帯を取った。が、話は三十秒もかからず終わった。
「出掛けたついでに湿布買ってきて」
湿布やと?
せっかくの植木とのデートで買う予定の物が湿布て!
臭いやん植木に迷惑やん近所にコンビニ三件もあるやん!!!
最悪や〜…
「電話終わったか?おばさん何て?」
躊躇い気味に植木が近寄ってきて、肩を落としている俺を下からひょいと覗き込む。
「あー、なんか湿布買って来いやて…。めんどいなぁ」
「ダメだぞ。ちゃんと買っていってやんないと」
「……了解」
植木がそう言うなら。
植木ならそう言うと思っとったけど。
「でも佐野ってすごいな。」
「へ?なんでや?俺何かしたか?」
「だって携帯。着メロ聞いただけで誰からか判るなんてさ」
「あー、なんや。ちゃうちゃう、ただ単によくかかってくる人ごとに一曲ごづつ違うのに設定してんねん。あるやろ?そーゆー機能」
「ふぅん、なるほど。俺のにもあるけど、めんどくさくて皆一緒にしてるな」
「もったいないなぁ。便利やのに」
「あ、でも一人は別。好きな曲にしてる。他は普通の。ピリリリリってヤツ」
「マジで?初期設定のままかい!!」
なーんて軽くツッコミを入れつつ考える。
誰や?植木の特別なヤツって。
コバセンとか言う先公か?イヤ、森か?あ、もしや姉貴さんか?
「なぁ…その一人って誰なん?」
「………ひみつ、だ」
うわ!余計気になるやんけ!!
なんやその間は!何気に赤くなっとるし!マジ相手恨むで!つーか羨まし!!
…ちなみに俺の携帯の植木の曲はORANGE●NGEのラヴ・パレード!!めっちゃエエ曲やんなぁ…愛やで愛!!
「そんなことより、早く行こう」
さらりとこの話は流されてしまい、植木の特別が誰かなんて考えるのを忘れてしまうほど夢中になって遊び回った。