うえきの法則

□螺旋の空
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「…さんきゅ。悪かったな。ホント」

体を起こし、くしゃりと植木の深い緑の髪を撫で、苦笑いしたら

「…コバセンのばか!何で体調悪いの黙ってたんだよ!学校も休めよ!」

…怒られちまった。

「何だよその言い草。お前に逢いに来たのに」

「…ホントにばか」

「そう馬鹿馬鹿言う「そう言う時は俺が逢いに行くのに」

俺の言葉を遮り、細長い腕を俺の首に絡める。

「じゃあ、ゆっくり看病して貰うかな。色々と…」

にやり、と、ちょっと意味ありげに耳元で囁き、腰に手を回すと、植木の頬が紅く染まる。
そのまま唇に近付くと…

「いいよ。別にコバセンなら」

ちゅっ

「っ?!?!」

…初めて。
植木の方から。
キスを。

―やべぇ。すげぇ嬉しい。
熱は無かった筈なのに、急激に体中が熱くなったのを感じた。
ばふっとベッドにもう一度倒れ込み、保健室独特の消毒液の匂いのせいもあるのか

くらくらと
めまいがして
空が廻る

螺旋のように。
全てが。

その中で意識も薄れてゆくけど。
でも、今は。植木が。
此処にいるから。

ゆっくり眠ろう。



end 
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