うえきの法則
□螺旋の空
4ページ/6ページ
意識が戻ったのはそれからかなり時間がたった夕方。
案の定俺は保健室のベッドの上で。
すぐ横に、植木がいた。
「あ、コバセン目ぇ覚めた?大丈夫か?」
「…お前、授業は」
無愛想に俺は問う。答えはどうせわかっているけど。
「……さぼった」
やっぱりな。
だからこいつには知られたくなかったんだ。
どうせ朝からずっとここにいたんだろう。
「皆勤賞目指してるんじゃなかったのかよ」
「いいんだよ。どうせもう一回さぼっちゃってるし」
「そんな簡単に目標を捨てる奴なんざ俺の正義に反するね」
俺のせいでそんな事はさせたく無かった。例えどんな些細な事でも。お前の目指しているモノの邪魔になるような事は。
「簡単にじゃない。コバセンが倒れたって聞いたからじゃん」
すがるような眼をして続ける。
捨てられた子猫の様な声で。
「…すごい心配したんだぞ」
心臓を撃ち抜かれるってのはこういう時の事を言うんだろう。
たった今、身を持って知る。
現在進行形で。
持っていかれた。心臓を。わし掴みで。