うえきの法則
□螺旋の空
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くらくらと
めまいがして
空が廻る
ラセンノソラ
***
今日は朝から何かおかしかったんだ。
やけに頭がぼーっとするわ、体に力は入らねぇわで。
でも別に熱がある訳でもねぇし。歩けない程でもなかったんで。とりあえず学校には行く事にした。
逢いたいヤツがいるから。
学校だけは。
「おはようコバセンっ!!相変わらずムサくるしいわねー!!」
校門を抜ける瞬間、後ろからバシッと殴られ、よろけながら振り返ると、空色の髪の上に赤いメガネを乗せた少女、森あいが立っていた。
あーあ。俺が逢いたいのはお前じゃねぇのに。
朝イチでこの眼で捉えたいのは…なんて言ったらまた殴られるんだろうな。さっきとは比べものにならない程の力で。
「…ほっとけ。森、お前こそもうちょっとおしとやかにできねぇのかよ」
「はぁ?何それ。失礼ねー!それって差別よ偏見よっ!あっ!ねぇ植木!」
どきん。
むっとした表情で頬を膨らませたかと思ったら、ぱっと顔を変え大きく腕を振っている。
森の視線の先を追いかけると、5メートル程先から歩いてくる植木を見つけた。
「ん、おぉ、森、コバセン。はよ」
俺より先に森の名を呼んだ事に僅かな嫉妬を感じながら、(我ながら大人げねぇ。相手はまだ中坊だっつーの)
やっぱこいつ可愛いよなぁと思わずにはいられない。