13vol.2
□お疲れ様ですライトさん
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【お疲れ様ですライトさん 1】
目が覚めて、出勤の支度をしようと洗面台の前に立つ
鏡に映る姿にしばし言葉を奪われた
「………ホープ何をしている?」
やっと出た言葉
しかし、鏡に映るホープの口が動き、その台詞を吐く
あり得ない現象
「ライトさん…おはようございます」
その後ろから、眠たそうに目を擦る…私!?
「どういう事だ!?」
ライトニングはパニックになり、目の前の自分に掴みかかる
「ライトさん!痛いですって……え。あれ?僕!?」
ホープは目を見開き、とてつもない剣幕で掴みかかってくる自分を目の当たりにする
後に、2人の絶叫が木霊した
*
「で…義姉さんがホープで…ホープが義姉さんで…」
スノウは混乱状態で頭を抱えた
目の前には、眉間に皺を寄せ機嫌の悪いホープと
おどおどと縮こまる義姉さん
信じられない話だが、今朝目覚めると中身が入れ替わっていたという
ルシにされた経験がるためか、2人はさほど取り乱した様子ではなさそうだ
しかし、原因不明そしてこの状態がいつまで続くのか?という一抹の不安は拭いきれないようだ
「とりあえず、私の方は無期限で休職する申請をした。溜まった有休もあったからな…消化も兼ねて承諾を得られた」
「えっと、問題は僕で………夏休み明け…明日からも普通に学校なんです」
「え……じゃあ…もしかして」
「…私がハイスクールに行く他ないだろう」
盛大なため息と一緒に頭を抱えていた
「大丈夫か?義姉さん……」
「う、うるさい」
「てかさ、素朴な疑問だんだけど……」
「なんだ?」
「風呂、どうしてんの?」
「スノウ…それ聞いてどうするつもりだ?」
立ち上がり、スノウの胸ぐらを掴むホープ(中身ライトニング)
ドスの利いたホープの声は、意外と怖かった
その横で、頬を染めて顔を手で覆うライトニング(中身ホープ)
まぁ、恋人同士である2人にソンなことを聞く方が野暮ってもので…
*
「あの、ライトさん…」
「大丈夫だ、内容はあらかた頭に入れておいた。極力目立たないように過ごすさ」
「ごめんなさい…」
「……私の顔で、そんな顔するな。気に病む事はない……留守番して待っていろ」
「は、はい」
と、自信満々に言ったはいいものの…
いざ教室を目の前にすると、なんというか……
ハイスクール出身ではないライトニングは、少々不安げに教室に入る
事前に教えられた席を目指して歩き出す
「おはよう、ホープ」
「…………」
「ホープ?」
「!?…お、おう。おはよう」
そうだ、私は今“ホープ”なのだ
「ホープ、早速で悪いんだけど、宿題見せてくれないか?」
「はぁ!?何を言っている…そんなものは自力でやれ」
「………………え…だって、約束」
「煩い黙れ…だいたいな、宿題を見せてもらおうという根性がな…」
言いかけて、ライトニングは止まる
ここでは“ホープ”を演じなければならない…と
言いたい言葉を飲み込んで、テキストの束をそいつに渡す
「次は自力でやれよ…お前のためにならない」
「あ、ありがと」
「分かればいい」
席に着き、これは先が思いやられるな…とため息を付いた