13vol.2

□Answer
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【Answer】





アカデミー本部にスノウが現れたかと思うと
アリサはあっというまに捕らえられた
悔しそうに奥歯を噛みしめる表情が脳裏に焼き付いて
簡単には消えてくれない

信頼していた部下だったから…





「セラ、来てくれ」

スノウは構わずセラの腕を取る
それを静止し、ホープは呆れながら説明を促した

「勝手に話を進めない!自分ひとり納得して、相手を置いてけぼりにする…全然変わってないんだな」

「はは、わりぃわりぃ、変わってなくて安心したろ?」

褒めてない…

しかし、スノウは教えてくれた
アリサが裏で取引し、カイアスから罠を仕掛けたオーパーツを受け取り、それをノエルとセラに渡そうとしていたのだ、と

「カイアスの野郎…とうとう宣戦布告してきやがった。俺が歴史を変えても、奴がまたもとに戻しちまうから……手の打ちようがねえ」

「ライトニングはどうしてる?」

空かさずノエルは言葉を挟む

「とっくに動いてる…サッズとドッジもな…」

少しだけ、ホッとした
直接はわからないけれど、皆の安否をスノウを通じて知る事ができた

「僕にできることは?」

「生きてくれ」

「……!?」

「いいか?落ち着いて聞けよ。お前は3日後にテロで暗殺される」

「僕が!?」

「お前が死んだら、歴史は取り返しがつかなくなる。『希望』が消えたら未来は来ねえんだ。だから、ホープ。全力で身を守れ。ノエルはホープを守ってくれ」

「あんたはどうすんだ?」

「未来でカイアスの野郎をぶっ倒す。その前に13の時代をめぐって、13個のクリスタルを集めねーとよ」

「13の時代だって?大冒険だな」

「セラ、一緒に来てくれ」


今度こそ、セラは大きく頷いてスノウの手を取った
あの日、2人で見たボーダムの花火の時の様に
セラは笑顔で答える
本当の笑顔で

「そっちの方が楽しそうなんだけど?」

「帰ったら土産話を聞かせてやるよ。だから…絶対死ぬんじゃねーぞ」

「どうせ止めても行くんでしょ?ご無事で」

ホープとノエルは、大きな音を立てて進むシヴァを見送ると
アカデミーの中へ戻り3日後へ向けて作戦を練ることにした










「スノウのお陰で、テロの規模を把握することができました……結構な数です」

報告書を映し出した画面を見つめ、ホープは眉間にしわを寄せた

「事前に分かったんだ…手の打ちようはいくらだってある。大丈夫…俺があんたを死なせない」

「ありがとう」

「……スノウに助けられたってのは、ちょっとアレだけど」

「……………」

「………アリサは、どうなるんだ?」

しばらく考えて、ホープはゆっくりと話し始める

「これはあくまで僕の予想ですが……彼女をどうこうする以前に、彼女は消滅してしまうと思います」

その言葉に、ノエルは首をかしげた

「時が正しく廻れば……きっと、嫌でも」

嫌でも…
消滅する
それは旅を続けてきたノエルにとってどういう意味かすぐに理解できた

「アリサ自身が……パラドクス?」

「その可能性も…」

そしてホープは続けた
以前、アリサが“夢で見た、アリサの名が刻まれが墓標”の事
それはいつまでたっても消えない悪い夢の中にいるような感覚だと
肩を震わせて泣いていたときもあった
この年代に訪れてから、アカデミー内でアリサを知らない人間がいる不自然な出来事があった事
セラとノエルの働きで、自身のパラドクスの可能性と消滅に恐れ
カイアスの作戦に加担したのではないかという事

「正直、困惑しています。アリサがいなければ、時空の研究はここまで発達しなかっただろうし……だけど結果として、彼女は間違った選択をしてしまった。セラさんやノエル君に危険が及ぶほどの罠を…」

「………………」

「あるいは…そうなるように故意に歴史を書き換えられた、か」

「なるほどな。でも、ここで論じたところで…答えなんかでない。今は信じてできることをするしかない…だろ?ライトニングだってそのために動いてるんだ」

「そうですね」

「ホープって、ライトニングの事には素直だよな?」

「そうですか?…………そうかもしれません」

ホープは一度考えて、肯定した
ライトニングは今も昔も
遠く、遥か向こうを走っている存在
どれだけ近づこうとしても
それは容易ではない

「タイムカプセルでここに来た時…ライトさんの声を聞いたって話ましたよね?」

いつも自分の支えとなっている存在

「自分の選択が間違っていない事……それで自信が持てた事」

大切な存在

「感謝してもしきれない…。不思議と、ライトさんの言葉は僕の胸にスッと入って来るんです」








「会いたい…だろ?」

「え?」








ノエルは天井を仰ぎ、呟いた

「理屈抜きで…そう思える存在。だろ?」

「……………はい」

「俺も…そういう子、いるから分かる。他の誰かを想ってる横顔でも……守ってやりたいって思える子」

「届かない存在に恋するって……無謀ですよね」

「今のままじゃ無謀だな」

「はっきり言うなぁ…」

「みんな戻ってきて、世界が元通りになって、…そしたらここで祝賀会を開こう。ホープの権限でなんとかできる?」

「え、えぇ。それは任せて下さい。盛大に行いましょう」

「…………アリサを許せるかどうか」

「…?」

「ライトニングに気持ちを伝える事が無謀かどうか…答えはその時、決めればいい」


ノエルの笑顔を合図にしたように
アカデミーのロビーになだれ込む無数の足音
各々武器を手に標的目指して足を進める

ホープもノエルも武器を持った手に力が入る

「極力下がっててくれ」

「大丈夫。足手まといには…もうならないよ」

「いくぞ!」





扉が開く瞬間がまるでスローモーションのように流れてくる
ノエルは風のように華麗に敵を薙ぎ払っていった


敵を見定め、射程圏内に捕えると
ホープも一気に攻め込む








“生きてくれ…”







今度は死ぬ気で逃げるんじゃない
『希望』に向かって、立ち向かうんだ



女神がそう囁いて
背中を押してくれたから



全てを乗り越えた時
ホープは意外にも
それらの答えを簡単に
導き出しているのかもしれない




end

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