13vol.2

□deliver love to your heart
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【deliver love to your heart】


守る守るって、守られたほうがどう思うか…
自分の事考えてくれなきゃ
アンタが守りたかった人が悲しむんだ

俺が…そうだった

人は…簡単に死ぬんだ
俺はスノウみたいな奴が嫌いだ

でも、気持ちは…………解る

仲間が今でもコクーンの柱に眠っている
救いたい気持ちは……痛いほど

だけど、俺が生きていた時代は
守りたい者のために、気持ちだけで突っ走って、
命を落とす奴が何人もいたから
スノウの言葉を肯定したくなかったんだ






その出来事を、ホープに話すと
ホープは少し呆れた様に笑った

「まったく。……スノウは変わらないなぁ」

「笑い事じゃない…」

「でも、ノエル君の言葉で…反省してるなら。少しは成長しているのかも」

「じゃあ、昔はもっと酷かったのか?」

「まぁ……そこに救われたところもあるんです。あの時、ルシの絶望に囚われて……それでもセラさんの言葉を初めから信じたのは…スノウだけだった」

「…へぇ」

「“信じる気持ち”それから…“絆”………それらはきっと、奇跡という言葉で片付けられない。不思議な力を生み出す……僕はそう思います」

「そう……だな」

「ノエル君も……きっと大事な人のために戦っているんですよね」

俺は、ユールやカイアスの顔を思い浮かべていた

「旅のきっかけは……よく、思い出せない。だけど…そうだと思う。ホープも…そう?」

「…………うん。いくら未来が過去が変わっても。それだけは変わらないと思います」


時の流れが正しければ、ホープはセラの4つ下だと言っていた
どんな少年だったのだろう


「ずっと?」

「うん…目覚めてから…ずっと。ライトさんたちを救う方法を探していた」

だから、一生懸命勉強して、飛び級して、
助ける手立てを見いだすと
時には周囲から無理だと笑われたりしたけれど
信じた道に向かってがむしゃらにやってきた…
とホープは言った

「ホープって、ライトニングの事………その、」

「好きです」

あまりにもあっさり答えるホープに
俺は目を丸くした
いや、その横顔に息を呑んだ…と言った方が正しいかもしれない

「ライトさんが…僕を好いてくれているかは解らないけど…。格好悪い…幼かった昔の僕しか知らないですし」

「ヴァルハラから……見てるよ」

「え?」

「今のホープを…ちゃんと見てる」

「………なら、やっぱり格好悪い所は見せられませんね」

そう言って、ホープはおもむろに立ち上がり
空を仰ぐと、スゥと息を吸った



「ライトさん!!!僕たちが…必ず貴方を迎えに行きますから!!!」



パドラの都にホープの声が反響する
アカデミー研究員の中には、主任の奇行に首を傾げる者もいた

「届く、かな…」

「届くさ」

照れ笑いをするホープに、俺は親指を立てて笑った

「ノエル君。人は…いつか必ず決断しなければいけない時があると思う。選択した道が………例え、自分を失ってしまう事になっても。大切な人が生きていける未来を手に出来るなら……」

「そんなこと……言うなよ」

「ライトさんが、元の世界で生きる事が、僕にとっても幸せだと……本気で思える。残された方は辛い思いをするかもしれませんが」


解ってる
残していく方だって……本当は辛いと言う事

決意…覚悟…
好きだけじゃない
ホープにはそれがある

「……………………」

「まぁ、それは、本当にそれが最期の手段だったら、です。僕は諦めませんよ」

「俺も…諦めない。そうならない方法を必ず見付けるから」

「はい、期待してます」


会わせてやりたい
無性にそう思った

元の世界でホープとライトニングが方を並べて歩く姿を
見てみたいと思った

きっとそれは素敵な世界で
笑顔が絶えない………
明るくて、希望に満ちあふれているに違いない



end

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