13vol.2

□A Song for You
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【A Song for You】



「エリダ…今日はおめでとう」

「ホープ!?うそ…本当に!?」

「何だよ…そのリアクション」

「だって、だって…絶対来ないと思ったんだもん!!」


ミドルスクールで同級生だったエリダ
ホープにとっては、同い年の普通の女の子なのだけれど
世間にとっては、“歌姫”
その抜群の歌唱力と表現力でたくさんの人達を魅了する

そんなエリダから、コンサートのチケットが届いたのは2週間前の事だった


「はい、これ…お祝いの花束」

「ありがとう…嬉しい。まさかこんなサプライズがあるなんて…思ってもみなかった」


エリダは花束を手にすると、深々と頭を下げ
涙ぐんではホープと抱擁をを交わす

「だって“アカデミーのホープ・エストハイム”だよ?多忙に決まってるじゃない」

「その多忙の気分転換に来たんだよ。招待ありがとう………それより。ここステージ上なんだけど」


何万人ものファンの前で2人は恥ずかしそうに笑みを溢すと、たくさんの拍手に包まれながら、ホープは席へと戻った



「へへ…びっくりしました。彼は、ミドルスクールの同級生で、仲良し3人でよく行動していました…懐かしいですね」

エリダはファンに向けて、ホープの紹介を始めた

「今はこんなに有名人の彼ですが、昔はちょーっと頼りないというか、私の方がしっかりしていた気がします」

「そんな彼は…今では世界を代表する素晴らしい人になるなんて……びっくりだし…同時に嬉しいです」

「花束を貰ったので…そうですね。御礼に……歌をプレゼントしたいと思います」

エリダの言葉に、会場が揺れる程の歓声が沸き上がる

「彼と…彼の大切な人へ……贈ります」

照明が仄暗く灯り
ゆったりとしたバラードが流れ始める







臆病な僕は 目隠しをして
道を歩いていた 嫌なもの全て
見ないフリをしていた

間違いだらけの僕を 光は優しく包んだ

やっと気づけたんだ 一人じゃないということ
共に歩む人がいること それが僕の強さになる
きっと叶えるんだ 希望であり続けること
共に立ち向かうということ それが僕等の絆となる



目覚めた僕は 記憶を辿って
一人歩いていた 可能なもの全てで
見えない今を探した

進み続ける僕に 光は優しく囁いた

もっと伝えたいんだ 愛しいということ
遠く離れた女神の元に 想いの光が届くように
ずっと追い続けるんだ 信じるということ
時が交差しなくとも それが僕等の誓いとなる


今見える空の色は 何色に輝いていますか?
取り戻した未来に 僕等は立っていますか?


やっと気づけたんだ 一人じゃないということ
共に笑う人がいること それが僕の強さになる
もっと伝えたいんだ 愛しいということ
隣で微笑む貴方の心に 想いの光が届くように

もう 離さない









「……素敵な歌だな」

「はい…」

そう言われて、ホープは頷きながら
隣で微笑むライトニングの手を握った

「もう、離さない…か?」

いたずらに微笑む彼女が愛おしい
横に座るライトニングは嘘じゃない
僕たちが勝ち取った……紛れもない未来

「そうですね…僕の命がある限りは……離したくないです」

「まるでプロポーズだな」

「いけませんか?」

「いや……悪く無い」

繋いだ手を引き寄せ
そっと口づける

2人に贈られた歌の先は

僕たちが紡ぐんだ



end

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