13vol.2

□Only I know.
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【Only I know.】



今日は久しぶりの快晴。
制御を失った天候の知らせは、今では「予報」と言葉を変えて毎朝伝えられる。
二人でショッピングを終えると、近くのカフェテラスに腰を下ろした。

「結局、僕たちは神の予言通り………コクーンを。堕としてしまったんですね」

ホープは、飲みかけの紅茶を見つめ少し悔しそうに呟いた。
そう言われて、ライトニングはヴァニラが読んだ冥碑の内容を思い出していた。

「“女神の予言は絶対である”……か」

見上げるコクーンは、今も変わらず
時を止めたように留まっている。

「どうして神は……それほどの力がありながら、この結末を選んだんでしょう。どうして……僕たちを」

「全く、いい身分だな…神というのは。付き合わされたこっちの身にもなって欲しい」

呆れながらも、ライトニングは言葉を続ける。

「だけど、“神”になるのは御免蒙る……他人の意思で動かされるのは嫌いだが、それ以上に他人の意思を無視する事が嫌いだ」

「僕も、そう思います」

ライトニングはふと右手を空へかざす

「私たちは……生かされた。これもまた女神の導き…なのか?」

使命を果たしたモノはクリスタルになり永遠を手に入れる…
ライトニングたちは、伝説通り“永遠”を手に入れるはずだった。
しかし、こうして、いつもの生活を続けている。
さすがに、コクーンに住んでいた時と全く同じとは言えないし、
ファルシに頼らない生活は不便に感じる事も多いが、それなりに生きて生ける。
そういう所が、人間のすごさだ。とライトニングは感じていた。

「例え“生かされた”ことが導きだったとしても………これから先、決断すべき時が訪れた時は」

「ホープ…」

「僕は、僕の意思で選びます」

「………そうだな」

「例えばデザートを何にするか…も」

にっこり笑い、メニューを手にするホープ
その姿に、ライトニングは吊られて笑みを溢す


女神よ
その目に焼き付けるがいい
この世の全てが神の導きのままだとしても
ケーキを選ぶか、タルトを選ぶか……その決断は、自分の意思
この先ずっと、己の意思と決断の連続で生きて行くのだ


「決めた!すみませーん。あ、このベリータルト1つと……ライトさんはどうしますか?」

「2つ。同じものを2つで」

かしこまりました、と店員は頭を下げて去って行く
何故か嬉しそうに微笑むホープ

「何ニヤニヤしてる」

「べ、別にニヤニヤなんて!!」

「そーか、そんなに嬉しかったか“同じ”で」

「ち、違っ……それに、ベリータルトにしたのは、僕が先です!」

「はいはい、そうだな」

「ライトさん///」

真っ赤になるホープの顔を見て、ライトニングは嬉しさと愛しさがこみ上げる
一つ感謝をしよう
人の子に感情と意思を創り上げた神に

「私も食べたかったんだ」

そして、悪いが、この気持ちだけは…
使命でも、導きでも、ましてや奇跡でもない
私だけのものだ…


暫くして出されたタルトを口にして、ホープとライトニングは幸せそうに微笑んだ



end

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