13vol.2

□e.g.
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【e.g.】



「あの、ライトさんって、告白された時あります?」

「は?」

「だから…その、異性に告白された事ありますか?」

「どういう意味だ?」

どういう意味だ…って
その言葉の通りなのだけれど、と思っても言えるわけもなく
ホープはため息を付く

「それは、私にはそういう経験が無いと思って聞いているのか?」

まさかの返答にホープは目を丸くする

「そんなわけないじゃないですか!!ライトさんだったら…そんなの日常茶飯事」

「に、日常茶飯事!?……お前、軍隊をどういうところだと思っているんだ」

それは十分わかっているつもりだけれど、思いを口にしないだけで
ライトニングに想いを寄せていた人はたくさんいると思う
こんなに魅力的な女性だから

「過去、一番印象深い告白はどんなでしたか?」

その質問に、暫く無言になるライトニング
それから急に咳払いをして話題を変えようと口を開く

「ど、どうでもいいだろそんな過去の話……そういえばセラが」

「あ、今話逸らしましたね?……へ〜どんな告白だったんですか〜?」

「うるさい!だいたい、こんな事聞いてどうするつもりだ!!」

照れくささから荒げた声に
ホープは真顔で返した

「知りたかっただけです…」

「知ってどうする」

「……それ、言わなきゃダメですか?」






ライトニングは胸の鼓動が少し駆け足になるのが分かった
意地悪いホープの笑顔
ライトニングは、この笑顔が苦手だった
いつもの調子を狂わせるその悪戯な笑顔
身体が微熱を帯びて、まともに目をあわせることができない
ホープはその笑みを保ちながら、ソファーに座っているライトニングを後ろから抱きしめる


「じゃぁ、例えば…僕が“ライトさんが好きです”って言ったらどう……します?」

「ホープ…」

耳元にかかる息がくすぐったくて、ライトニングは方を振るわせる

「例えば…って言ってるじゃないですか」

「ずるいぞ…お前はそうやって」

「……だって」


抱きしめられた腕が震えている
余裕そうな笑みから信じられないくらいか細い声
ライトニングは目を細め、少しだけホープに体重を預けた

「お前の“例えば”に真剣に答えるのか?それはフェアじゃない」

「………………」

「答えは“言われてみなければ分からない”だ」

「し、真剣に言ったら………茶化さないで、真剣に答えてくれますか?一人の男の言葉として、僕の言葉を聞いてくれますか?」

ライトニングはハッとした
ホープは、結果を気にしていたのではない
私自信が真剣に声を聞いてくれるかを不安に思っていたのだ、と

「ホープ…」

一生懸命私に合わせようと背伸びする姿、その笑みすら、途端に愛おしく思えた

「ホープ。聞かせてくれないか?……お前の言葉…」

ライトニングは自然と手を伸ばし、ホープの頬に触れる

「……ライトさん、僕」

その続きを、高鳴る鼓動を自覚しながら待っていた
きっと、もっと前から
この時を待ち望んでいたのは自分の方かもしれない
“例えば”なんて要らない
そのストレートな言葉を
ずっと…
ずっと……




end

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