13vol.2

□難問
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【難問】



171-153=18


「なんだこれは…」

リビングに置かれていたメモ
その数式の下には更にたくさんの数式が所狭しと綴られている
ホープのスクールの宿題か?
その計算からはじき出されたアンサーは
A/30 kinds 1L×182.5

と、訳の分からない答え
そして、一番分からないのは、答えを導き出したそのしたに書かれている
Difficult problem
の走り書き



数年前も首を傾げたが、その時は特に気に留めることもなかった
しかしライトニングは、先日、また同じような数式のメモを発見する

171-166=5
A/30 kinds 1L×182.5

始まりの計算は違うのに、昔と同じ答え
最後の走り書きは
Soon

「もうすぐ…だと?」

一体何だ?
どうやらスクールの宿題ではなかったようだ
そのメモと数分格闘していると、スクールから帰ってきたホープがリビングへ姿を現した

「ただいまかえりました」

「今日は早かったな」

「あ!!ライトさん!!!それ見ちゃダメ!!!」

「そんな事を今言われても……もう遅い」

「で……ですよね」

「一体これは何なんだ?」

「えっと…」

「昔もこんなメモを見たぞ」

「え!?」

「兵士の移動計算…とも違うようだが」

「そんな…大それたものじゃ」

ホープの声は尻すぼみに消えていった
軍事系計算の問題なら、先輩である自分が教えてやろうと思っていたが

「はぁ、ばれてたなんて…かっこわるすぎだ」

「ホープ?」

「………です」

口元を隠し、目を逸らしながら呟く
うまく聞き取れず、ライトニングは1歩前に出て
顔を近づける
今ではすぐ近くにある顔
耳まで真っ赤に染めて、暫く俯く

「身長…が」

「し…身長?」

思いがけないワードに、ライトニングはマヌケな顔をさらす

「僕と…ライトさんの……身長で。えっと、僕の……その、成長計画の計算です」

「あの…数式の羅列が?」

「どうすれば早く身長が伸びるか…僕なりに、計算…」

そこまで聞いて、ライトニングははじけたように笑い出す
堪えようと思っても、閉じた口から息が漏てしまう
腹筋が引きつりそうになり、前屈みになっていた
ホープは予想どおりと肩を落とし、言うんじゃなかったと後悔の表情を浮かべる

「悪い……笑うつもりはなかった」

「そんなに笑った後で、説得力ないですよ」

「いや、馬鹿にしたわけじゃない……ただ、」

ものすごく、愛おしいと感じたんだ

「え?ラ、ライトさん!?」

「お前をこうして抱きしめたくなった」

腕を伸ばし、そっと抱きしめる
予想外の出来事に、ホープはますます慌てた

「そうか、もう、5cmか………抱き心地も違うはずだ」

確かめるように抱きしめられ、心が擽られる
ホープは照れくさそうに微笑み抱き返す腕に力を込めた

「いつか、上から抱きしめられる時が来るんだろうな…」

「……期待、してて…下さい」

「“答え”を楽しみにしてるよ」

ライトニングは同意の合図で、ホープの額にキスを落とした



end

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