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□唇
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【唇】



見上げると
苦しそうに揺れる双眸があった



“ガキだガキだとと思ってっと、いつか足をすくわれるぜ”



そうは言われていたが、この場合じゃ意味が違うのでは















ライトニングは掴まれた腕を解くことができなかった

「ライトさん…僕…、苦しいです」

「ホープ…」
その表情は本当に辛そうで、見ているライトニングまで苦しくなってきた

「僕は…ライトさんが好きです」

腕を押さえつけられたまま、ホープの頭は首筋に埋められる
熱い吐息が感じられ、ライトニングは目眩と似た感覚に陥る


「私だって…お前の事は…大切だ」

「………その気持ちは嬉しいです…でも、ライトさんの気持ちは……、僕の好きと、多分、違うんです」


そんな
そんなはずはない…
焦りを感じたライトニングは小さく首を振る
今まで、大切だと思える時間を共有し
笑い、時には衝突しながらも共に過ごして来た

愛しいと感じているのに…

お前を…

誰よりも…











「ごめんなさい…、困らせる事は…1番、したくなかったのに。こんなに……好きになって…ごめんなさい」

ホープは消えそうな声で、そう呟いた










あぁ、離れていってしまう…
そう感じた




























ライトさん、好きです!

大好きです!!


ライトさん!


ライトさん!!



























何度もお前は言ってくれた
振り向けは、いつも笑顔で、両手を拡げてくれている
それに甘えて私は……

「ホープのように、素直な性格で生まれてくれば……きっと、こんな顔をさせずに済んだんだろうな…」

「ライト、さん?」

どうすればいい?
どうすれば、この気持ちは…
お前に伝わる?

腕が解かれ、ライトニングはホープの頬に手を添えた
今にもこぼれ落ちそうな涙をそっと拭ってやる

「怖かった…」

「…え?」

「お前と過ごす度に、揺らぐ心に……想う度に、苦しくなる胸に……平常心を装う度に、お前に…惹かれていると」

「…どうして、隠すんですか」
揺れる瞳はそのままに
わずかに笑みを含んで、ホープは囁いた


「どう、伝えれば…。私はそんなに器用じゃ…」


恥ずかしくなって、視線を逸らす


「簡単です…」
















「こう、すれば…いいんです」

低く掠れた声で囁かれたかと思うと
ホープはライトニングの髪を優しく撫でる
目と目が合い、至福に満ちた瞳を見つめライトニングも自然と笑みがこぼれた

熱い吐息を感じてすぐに

柔らかな唇がそっと触れた










ライトさんじゃなきゃ僕は…
ホープでなければ私は…







そんな解りきっていた事を

これから何度でも確かめ合うんだ

ずっと

ずっと…




end

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