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□泣き虫騎士
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【泣き虫騎士-Knight-】




「綺麗でしょう!ライトさん!!」


道を抜けた先
視界が開くと同時に眩しい蒼
柔らかい日差しが花を照らし、優しい風が草木を揺らす


「あぁ、……そうだな」


グラン=パスルの壮大さを実感する
ここで、自分はいかに小さな存在かと思い知らされる



「よかった…」

「え?」

「ライトさん、ちょっと元気無かったから」

「そうか…すまなかった」


そんな心配をさせていたのか、とライトニングはため息をつく


「ライトさんが辛いときは、もっと頼ってください!……その、僕じゃ頼りないのは分かってるんですが」


「いや、そんなことは」


「僕は、ライトさんやみんなに助けてもらってばかりで…でも、だから、乗り越えて…これた」


ホープは拳を握りながら、ルシの刻印を胸に数回打つ
召喚獣・アレキサンダーとの闘いで
さらに強さを手にした
闘う強さ、諦めない強さ、信じる強さ



「僕、改めて思った事があるんです」

何かを決心したかのような
真っ直ぐな瞳に射貫かれる


「この闘いが終わった…未来の事。みんなで、笑って……帰ろうって」


「…あぁ、そのつもりだ。悪あがきといわれても…諦めるものか」


「…だから。約束してください。もうあんな、こと…」

急に声を詰まらせたホープは
何かを隠すように背を向けた
















私が突っ込む



え…?



死ぬ気で逃げろ



でも…



生きてくれ…



…っ















「ライトさんだけ犠牲になるような事……言わないで下さい…絶対に…、絶対、に」

ホープの声が震えている
そう気づき、ライトニングはそっと肩に触れる
俯くホープの瞳から、次々と溢れる涙

「ホープ…」

「あのとき、何も言えなかった。ライトさんにそう言わせてしまった自分が…一緒に戦えなかった自分が」

「泣かなくてもいい…」

優しく背中をさすり、しばらく泣き止まないホープを見つめていた

「ライトさん、の…事。守って…行きたい、って思えば思う程……悔しいんです…」

「ホープ……これからがあるだろう」


顔を上げさせ、そっと涙を拭うライトニング


「ファングが言っていた…“生きていれば挽回できる”と…だから泣かなくていい…。笑って、帰るんだろう?」


「……はい」


「約束するさ…」


そっとホープ抱きしめ、頭を撫でる
暫く目を閉じて、心を落ち着かせた


「ライト…さん?」


「黙って…少し……こうさせてくれ」



今、顔を上げてしまったら
嬉しさから、こらえた涙が落ちてしまいそうだった





end

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