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□近未来、君。
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【近未来、君。】




「ライトさんお願いです!!」


「ホープ、寝言は寝て言え」


家に来て、何を言うかと思えば…
ライトニングは呆れてため息をつく
しかしホープもなかなか引き下がらない


「本当に、ちょっと試すだけでいいんです」


「試さなくてもいい。それはお前には無理だ…身長が少しでかくなっただけで」


「そ、そんなにハッキリ言わなくても」

思わず本音が出てしまい
ライトニングは一瞬止まる


「…僕の願い、なんでも聞いてくれるって言ったのに」

「そうは言ったが…」

「誕生日にこの仕打ち…生まれて初めてです」

「し、仕打ち…って、ホープ」

ライトニング本人、そこまで非道な意見を言っているわけではない


「せめて理由を聞かせてくれ」

「言ったら、お願い聞いてくれますか?」

「聞いて見ないとなんとも言えないな」

「……それを乗り越えて男は成長するんです」

「……………そうか」




真顔で言うホープ
とりあえず、後でバカ義弟にひと言言わなければならないと確信したライトニング




「ハァ…、そんな事しなくても。ちゃんと成長しているだろう?」

頭をポンポンと優しく撫で、なんとかホープを落ち着かせる


「さ、ケーキを買ってきたんだ。一緒に食べよう」
キッチンへ向かおうと、ホープに背を向けた





「ライトさんごめんなさい!!」

「え?」




不覚だった


気配を感じた時には既に遅く


重力に反して身体が浮くのが分かった


大きくバランスを崩し、咄嗟に目の前のモノにしがみつく




「やっぱり無理じゃなかった!ライトさん、軽いですね」

お姫様だっこをしているホープは満足気に笑う


「お…おろせ!!!」


「どうしてですか?せっかく…」


「何ででもだ!!」


「うわ、暴れないで下さい!!」


しかし、ホープはしっかりと支えて、降りられそうにない
その攻防を繰り広げながら、リビングに辿り着いてしまったライトニング
おいしょ、と最後はソファーへ降ろされた


「ライトさん…あの」

しばし俯いたままのライトニングに、ホープは恐る恐る声を掛ける
なかなか顔を上げて貰えず、ホープは顔を近づける


そこには、頬を紅く染めたライトニングがいた


「恥ずかしかった…ですか?」





「……恥ずかしいに決まっているだろうっ!!!」





「やっと顔見られた…」

ふんわり微笑み、ホープは互いの吐息を感じられる程まで顔をグッと近づける


「ライトさん…」


いつの間にか、両手でライトニングの頬を包んでいた



「調子に乗るな!!」


「いてっ!!ごめんなさい、もうしま、せん」


「分かればいい」


思いっきりどつかれた
女と言えど、軍人のパンチはすさまじい








歳を重ねるごとに

大人になっていくお前を見て

嬉しくなる反面

ときどき、どうしていいか分からなくなる



数年後、お前はどこでどうしているのか

こんな風に笑い合っていられるのかどうか

期待と不安





「ケーキ、食うのか?食わないのか?」


「た、食べます!!」


ホープは慌てて立ち上がり、自ら進んで準備を始める
ライトニングも遅れて立ち上がり




未だ熱が冷めない顔を扇ぎながら
とりあえず、スノウの携帯を鳴らした




end

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