過去の過ち

□アイツが憎い
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アイツが憎い。

アイツが憎い。

家族を殺して、町を燃やしたアイツが憎い。

俺は、アイツを探しに旅立つ。

居場所が、分からなくても、この俺の眼が覚えている。

俺の左眼は、復讐の証。

アイツの笑い声が、浮かぶ度に、この傷が疼く。

幼かった俺に、大人の事情は解らない。

けど、俺の全てを奪った、アイツは許せない。

今の俺に、手を差し述べてくれる奴は居ない。

孤独な俺は、何処を目指す。

旅立つ先にあるのは、生か死か?

俺は、命なんて惜しくない。

アイツをこの手で、斬る事ができれば、それで良い。

でも、何故か虚しいこの想い。

周りは、自分達の幸せを願ってる。

恋人達の、優しい歌声が聴こえてくる。

暖かく、そして愛しい。

涙が溢れ出る。

こんな俺にでも、幸せなんてあるのだろうかと…。

俺も、普通の女の子になりたかった…。

けど、もう自分の道は変えられない。

アイツを斬る。

それが、今の俺の野望だ。

アイツが憎い。

アイツが憎い。

俺の居場所を奪った、アイツが憎い。

必ず見つけて、殺してやる。

この俺の手で…。

この俺の刀で……

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