版権

□*これも調査なんだ
1ページ/11ページ

浴室の外で物音がする。
……話し声も。

「……はぁ」

安藤は湯船から出ると、浴室から窓を開けた。
そこには携帯電話を手にした男が立っていた。

「あなたですか」

男は湯気の立ち込める浴室を覗き、一瞬固まった。

「いや、これはちょっとした手違いで…」

男の表情のない顔が、少しだけ慌てたようになる。

『おい、どうした…』

携帯から、野太い男の声が漏れてくる。

「あの、いいですから帰ってもらえますか? ゆっくり休めもしない…」

安藤はそう言って閉めようとした窓を、男の手が阻止した。

「失礼、また後で連絡する」

『あっ、おい、ちょっと!』

「なっ……」

「どいて」

彼は携帯をブツリと切ると、窓枠に足を掛けてきた。

「え、ちょっと!危ないですよ!」

「危ないかどうかは、私が決めることだ」

男は、以前どこかで聞いたことのある台詞を口にした。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ