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□*これも調査なんだ
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浴室の外で物音がする。
……話し声も。
「……はぁ」
安藤は湯船から出ると、浴室から窓を開けた。
そこには携帯電話を手にした男が立っていた。
「あなたですか」
男は湯気の立ち込める浴室を覗き、一瞬固まった。
「いや、これはちょっとした手違いで…」
男の表情のない顔が、少しだけ慌てたようになる。
『おい、どうした…』
携帯から、野太い男の声が漏れてくる。
「あの、いいですから帰ってもらえますか? ゆっくり休めもしない…」
安藤はそう言って閉めようとした窓を、男の手が阻止した。
「失礼、また後で連絡する」
『あっ、おい、ちょっと!』
「なっ……」
「どいて」
彼は携帯をブツリと切ると、窓枠に足を掛けてきた。
「え、ちょっと!危ないですよ!」
「危ないかどうかは、私が決めることだ」
男は、以前どこかで聞いたことのある台詞を口にした。
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